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「手作り目薬の作り方」ママ発信の子育て共感メディアで危険な情報

2020/02/05 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 「手作り目薬」の作り方という健康情報がネットで広まり、炎上している。発端は、サンケイリビング新聞社が運営するウェブサイト「あんふぁんWeb」に掲載された<自宅にあるものだけで簡単!! 手作り目薬を作りました★>というタイトルの記事だ。

 記事では、煮沸消毒した容器、水、塩で目薬を作る方法を紹介。<なるべく手作りできるものは手作りしたいと思ってます♡>とオススメするものだった。

 あるTwitterユーザーが<妻が目薬について調べてたら自然派のやべー記事見つけた。手作り目薬の作り方らしいけど、「塩は塩化ナトリウムが入っていないものを選ぶ」って、塩をなんだと思ってんだ>と記事にツッコミを入れると、そのツイートが爆発的に拡散。

 眼科医を名乗るユーザーも<絶対にやめてください。やるなら失明覚悟で。ただ、外来で見つけたらめっちゃ怒りますよ>と言及し、「手作り目薬」と「塩化ナトリウム」がトレンド入りを果たして炎上した。

 当該記事を掲載した「あんふぁんWeb」は<誤った内容があったと判断した>として4日付で記事を削除。記事の執筆者はブロガーで医学的な知識を持たなかったとみられるが、サイト側には医療知識を持つ専門家の監修をつけるなどチェック体制を整える責務があったといえる。

 ちなみに「あんふぁんWeb」は、【ママ発信の子育て共感メディア】だ。ターゲット読者は子育てママなわけである。保護者が我が子のために目薬を自作し、それによる健康被害が出たらたまったものではない。手作り目薬に限らず育児の分野において、書き手が共感を求めて誤った情報を流すリスクは常にあるのではないか。

トンデモ美容や健康情報はなくならない
 2016年には、IT大手のDeNAが運営する健康・医療系キュレーションサイト「WELQ」(ウェルク)が、医療知識のない素人ライターによる不正確な医療記事を粗製乱造してGoogle検索の上位を独占していたことが発覚。人の健康にかかわる誤情報が大量に発信されていた。

 この一件は大問題となり、「WELQ」は閉鎖。DeNAは謝罪会見を開き、執行役員の村田マリ氏は辞任している。

 この「WELQ」問題によって、ネット上の医療記事は必ずしも信頼のおけるものばかりではない、という認識が広まった……かといえば、そうでもない。その後も、ネット発のトンデモ健康・美容情報はたびたび騒動を呼んでいる。

 一昨年、ネットで話題になったのが「赤子ヨーグルト」。Wezzyでもトンデモ物件をウォッチするライターの山田ノジルさんが紹介している。「赤子ヨーグルト」とは、端的にいうと赤ん坊の手の常在菌でヨーグルトを作るというもので、ある自然派ブロガーによれば<乳酸菌でいっぱいの赤ちゃんの手をチャプチャプ>させることで乳酸菌が発酵して固まり、ヨーグルトが完成するということらしいが……。その顛末は、ぜひ下記の記事で確認してほしい。

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 また、昨年には「豆乳アボカドヨーグルト」も話題になった。これもあるTwitterユーザーが作り方をツイートして広がったもので、豆乳にアボカドの種を入れて常温放置することでヨーグルトを作るという食品系の情報だった。しかし案の定、「ヨーグルトではなく豆乳に雑菌が繁殖しただけでは」「食中毒の危険がある」とツッコミが殺到。大手メディアも騒動を取り上げ、専門家は「デマ」と断罪して真似をしないよう注意喚起していた。

 トンデモ美容情報も忘れてはならない。昨年も「血液クレンジング」が騒動になったばかりだ。「血液クレンジング」とは、静脈から採血した血液にオゾンを入れて再び体内に取り込むというもので、一部医療機関がアンチエイジング作用を謳って売り出している商品だった。SNSではタレントや有名ブロガーが紹介していることでも話題になったが、そこに医学的根拠はない。多くの医療関係者は「効果がない」「むしろ危険」と言及している。

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 手作り食品も美容法も、ネット上には胡散臭い情報が蔓延している。それらを鵜呑みにすると健康を害する恐れもある。とはいえ、医師などの専門家に不信感を持つ人はいるだろうし、我流を貫きたい人、自然由来のモノや手作りにとにかくこだわりたい人、様々いる。それも結局のところ、当人の自由だ。人は自分の信じたいものしか信じない。科学的な根拠などどうでもいい、という人だっている。

 だからこそ情報発信の場となるメディア側が、信頼性の欠ける情報を流布させないよう、特に気をつけなければいけない。

最終更新:2020/02/05 20:00
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