【連載】ホス狂いのオンナたち

歌舞伎町の人魚伝説事件――ホストのラストイベントから、消えた「女」と「1000万円」

2019/06/22 19:00
せりな

なぜ最後の夜に復讐したのか?

 ミクは、その後職場にも現れず、音信不通になった。どうして、ミクはそんなことをしたのだろうか。ここからは私の勝手な推測である。思うに、ミクは「担当がホストを辞めたら一緒になれる」なんて、はなから信じていなかったのではないだろうか。なんせ、7年も付き合いを続けていたのだ。それくらいの嘘は見抜けそうなものである。というか、本当に一緒に住むのなら、ホストを辞めなくても一緒に住むことはできる。

 彼女は全てを承知していた。だからこそ、最後の夜に復讐する。それだけのために大金を作ってきたのだ。蜘蛛の糸が空虚な強度しか持たないことを、ミクは知っていた。だったら、自分から引きちぎってやる。ミクの最後の行動は、そういう意味があったのかもしれない。

 ミクの担当ホストはしばらくの時をおいて、またホストを始めていた。今現在もご活躍中である。私が知らないだけで、もしかしたらミクも歌舞伎町で、違うホストにハマっているのかもしれない。いつか、会うことがあったらあの時のことを聞いてみたいな、と思う。酒のアテ程度に。

せりな
新宿・歌舞伎町の元風俗嬢ライター。『マツコが日本の風俗を紐解く』(日本テレビ系)で、 現役時代のプレイ動画を「徹底した商業主義に支配された風俗嬢」 と勝手に流されたが、 ホストに貢いでいたのであながち間違いではない。その他、デリヘル経営に携わるなど、業界では知られた存在。 現在も夜な夜な歌舞伎町の飲み屋に出没している。
Twitter

【バックナンバー】
第1回:歌舞伎町の元風俗嬢が語る、愛しき“ホス狂い”たち――「滑稽だけど大真面目」な素顔
第2回:担当ホストに月200万円……OLから風俗嬢になった女が駆け上がった「ホス狂い」の階段
第3回:容姿や年齢より「使った金額」! ホス狂いたちが繰り広げる、担当ホストのエースをめぐる闘争
第4回:Twitterで「担当ホストの本命彼女」を暴露!! ホス狂い界隈を絶望させた“ある女の復讐劇”
第5回:ホストに月200万円使う女は、どんな接客を受けるのか? 究極の接客「本営」の実態
第6回:ホストにハマる女は「まじめ」になる。引きこもり風俗嬢が出会った「ホスト・コミュニティ」
第7回:テレビが取り上げない「毎日ホストに通う女」の実態……シャンパンコールの裏にある光景
第8回:ホストで「一晩1000万円」使った女――担当も驚いた「紙袋に詰まった万札」の出所とは?
第9回:ホストクラブ「300万円偽札事件」勃発――歌舞伎町を震撼させた“未解決事件”に思うこと

最終更新:2019/10/24 18:44
マイメロディ ジッパーキャリーケース フレーム柄 前ポケット付き ピンク・SR694PN-2
歌舞伎町の現実はウシジマくんより奇なりだよ
アクセスランキング