コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

共働き家庭に中学受験は無謀なのか? 管理職の母が、「辞職決意」の果てに気づいたこと

2019/04/14 16:00
鳥居りんこ

 みゆきさんの覚悟が決まってから、不思議なことに、まず夫である隆さんの変化が見られたそうだ。休みである土日は隆さんの当番。学校説明会への出席、塾の送迎、模試の付き添い、その後の見直しなども含めて、全面的に協力してくれるようになったという。隆さんは息子と二人だけの「男同士」の時間を特に大切にしていたらしく、これが悠人君にも好循環になっていったと聞く。
悠人君にこの頃の印象的な話を聞いたら、こういうことを教えてくれた。

「父は時々、僕が好きな車両基地とかに連れてってくれたりして、息抜きを率先してやってくれました。母はそういうことが苦手なんで……(笑)。あと、父はエンジニアなんですが、街で父の会社の製品を見つけると、説明してくれたりして、単純に『エンジニアってカッコいいな』って思いました。父が『今やっている学習は将来的には、こうつながっていく』みたいな話もしてくれたので、その時はまだよくわからなかったんですが、受験勉強は自分にとって意味があるものなんだってことだけは、わかっていたと思います」

 共働き家庭の方が、筆者に「子育て人生の中で最大の負荷は中学受験」と教えてくれたことがあるが、負荷はあるものの、良いこともたくさんあると思う。みゆきさんはこう言っていた。

「今、私は無事に管理職として業務を続けているのですが、部下たちから『丸くなった』って言われるんです(笑)。中学受験を通して、『自分が! 自分が!』ではなく、皆で協力して、どうにかやっていくってことが大事だって心底わかりました。それが中学受験の効能の一つです。もちろん、家庭内の空気もすごく良くなったと自負しています」

 中学受験に向かっている共働き世帯は、常に時間と体力の葛藤だ。その配分は家庭ごとに違うのは明白だが、問題ができたら、その都度、臨機応変に考え、頼れるものは存分に頼り、軌道修正していくことが成功への道筋なのかもしれない。悠人君は現在、中学2年生。あこがれ続けた名門校の鉄道研究会部員として張り切っている。
(鳥居りんこ)

最終更新:2019/08/14 18:15
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