コラム
知られざる女子刑務所ライフ52

「シャブ山シャブ子」に元女囚が物申す! ポン中にも「プライド」があります

2018/11/18 16:00

 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■シャブを打った時に、誰かを殺したくなどならない

「シャブ山シャブ子、見た?」
「アレ何やねん」

 私の周囲でも「シャブ山シャブ子」が話題になりました。私はテレビドラマをほとんど見ないので知りませんでしたが、テレビドラマ『相棒 season17』(テレビ朝日系)の「薬物依存症の女性キャラクター」なのだそうです。

 ポン中に「キャラクター」も何もないもんですが、11月7日放送回の終わりに突然公園に現れて、ベンチに座ってた刑事をハンマーで殴り殺して高笑いをしていたそうです。そして、警察の取り調べに対して、「シャブ山シャブ子、17歳です!」(見た目は中年)とやたらハイテンションで、目の前にいる羽虫を払うようなしぐさをしています。もちろん腕には注射痕。

「これは、私やない」

 問題の場面を見た私は、正直ハラが立ちました。

 「覚醒剤中毒者」のイメージとしてありがちなのは、「シャブのやりすぎで頭がおかしなって、人間が怖なって、誰かれかまわず殺してしまう」とか、そういうのですよね。実は、こういうのはほとんどないんです。ゼロとは言い切れませんけどね。なぜならポン中は、キホン他人がどうでもよくなるからです。クスリにしか興味がないんです。私もシャブを打った時に誰かを殺したくなったことはないですね。

 たとえば清原和博さんやASKAさん、酒井法子さんなんかは暴行事件を起こしているでしょうか? 有名人やから起こさないのではなく、ポン中とはそういうものなのです。これが危険ドラッグや合成麻薬やと、また話は別です。こういうのは、人を殺したくなるかもしれません。

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