コラム
知られざる女子刑務所ライフ50

ASKAさんの再起動を心から応援します! 元女囚が語る「シャブをやめられない理由」

2018/10/21 16:00

 私もそうでしたが、クスリをやめたくてもやめられないのは、寂しくて不安やからです。せやからクスリをやめられる人には、寂しさを忘れさせて、支えてくれる人がいてるんですね。ご家族でも恋人さんでも、お友達でもええんです。寂しい……と思ってしまうと、ついクスリに手を出してしまうんです。

 クスリに手を出すちゅうのは、つまり「売ってくれる人に連絡する」ちゅうことです。クスリをやめたいなら、まずは売人の連絡先をスマホから全部消すしかないのですが、これがなかなかできないんですよ。そもそもシャブでパクられた(逮捕された)人は、まず入手先をウタいません。これは、売人からの仕返しが怖いのではなく、また買うつもりやからです。でも、ASKAさんはウタったことがニュースになっていました。普通ならありえへんことです。もしかするとASKAさんは「二度と買わんとこう」と思って、ウタったのかもしれません。

 シャブなどの違法薬物は「被害者なき犯罪」といわれるそうです。中毒になって、妄想すごすぎで殺人事件などを引き起こすことがたまーにありますが、少ないですからね。クスリをやめられない人の罪悪感が薄いのは、そういうことなんやろうなと思います。

 もちろん「被害者」もまったくいないわけではなく、クスリを買うためにお金を無駄遣いされたり、妄想で暴力を振るわれたりするご家族などは大迷惑です。小さなお子さんとかは特にね。でも、使っている側も、クスリをやめたくないわけではないんですよ。使うたびに、「今回でやめよう……」と思うんです。思うだけなんですけどね。

 この苦しみから立ち直れるのは、「愛」と、マジでやめようと思う「勇気」しかないのです。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

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最終更新:2018/10/21 16:00
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