【連載】知られざる女子刑務所ライフ11

元女囚が斬る! ドラマ『女囚セブン』、受刑者が全員美人以上に“ありえへん”こととは?

2017/04/28 15:00

ムショのタブーは「脱走」と「自殺」

 さて本題です。予告編を見ましたが、『女囚セブン』は、現実のムショではありえないと思います。隠蔽体質や冤罪、房内のイジメと、「刑務所的に」イヤなお話が多そうですね。それに受刑者が美人ぞろい。あれはないやろ(笑)。しかも、1回目の放送はいきなり「脱走」で、しかも脱走犯を「新入り」(の懲役)が連れ戻しているようですから、これはもう絶対ムリです。脱走と自殺は、ムショが最も恐れることなんです。

 ドラマですから、多少はリアルでないところがあってもいいかとは思うのですが、脱走は「受刑者がみんな美人」という以上にありえへんです。そもそも日本の刑務所は、ほとんど脱走はないですよね。和歌山刑務所で前に炊場さん(受刑者の食事を作る工場で働く受刑者)が逃亡して、マンホールの中に隠れていたところを見つかるって事件がありましたけど、そのくらいです。「塀の外」に出るのは、到底無理なんだと思います。

 まあ自殺はけっこうあるんですが(苦笑)、日本は世界でも脱走が少ないことで有名です。脱走の名人で『破獄』のモデルの白鳥由栄は昭和前半の人ですが、そのくらいしかいてませんよね。

■大震災でも懲役が脱走しない理由

 日本人は、DNA的に「神妙にお縄をちょうだいする」タイプが多いと聞いていますが、ホンマかどうかはさておき、過去の脱走騒ぎも外国人が目立ちます。広島刑務所(2012年)は中国人、東京拘置所(1996年)はイラン人でした。この時はイラン人7人が逃げて、最後の1人が捕まるまで9カ月くらいかかっていますが、あとはすぐ捕まったとネットに出てました。

 女性は男性よりも計算高いので、リスクを冒してまで脱走は考えないのだと思います。まあ本当に計算高ければ、ムショに行くようなことはしないハズですけどね。

 とはいえ私も「脱走したいな」って思ったことはありますよ。「あと何年ここにいなきゃダメなんかなあ」って案じだしたら、アレコレと考えましたよ、トンズラする方法を(笑)。でも、脱走してからのことを想像したら「さっさと務めて帰るほうががラクだな」と思ったので、犯行(笑)には及びませんでしたけど。仮に逃亡できたとしても、それからずっと警察の追跡におびえながら暮らさなくてはならないですからね。一生を堂々と生きられないくらいなら、ロングな懲役もきちんと務め上げて、「晴れて堂々と生きる前科者」でいるほうが賢いとバカなりに考えた結果なのです。

 ちなみに東日本大震災の時には、騒ぎに乗じて少年刑務所で脱走があったようです。着替えもできずに、すぐに戻ってきたそうですが。福島の女子刑務所も含めて、東北の刑務所の建物は、ほとんど無事だったと聞いていますが、仙台にある宮城刑務所から5キロも離れていない海岸には、たくさんの遺体がうち上げられたとニュースで見ました。お気の毒ですね。

 そういえば、東北の某刑務所長は、慰問にやって来た噺家さんに「ウチの懲役はみんないい人ですから、脱走はありませんでした」と言ったとか(笑)。意味わからんですが、おもろいですね。個人的には、脱走なんかしないでおとなしく務めて、早くシャバに復帰することをオススメします。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

最終更新:2017/04/28 17:55
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