介護をめぐる家族・人間模様【第27話】

「財産狙いの同居? 息子家族のすべてが怪しい」娘婿の見た義父母の疑心暗鬼

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Photo by iwks from Flickr

 最近めっきり耳が遠くなった。昔はわずらわしかった電子レンジや炊飯器、洗濯機の終了お知らせ電子音が、ひとつ、またひとつと消えていった。壊れたのかと思っていたら、壊れていたのは耳の方だった。回復したと主張する佐村河内氏がうらやましい今日この頃。今回お送りするのは息子、といっても義理の息子が見た家族のお話。

<登場人物プロフィール>
関根 和久(50)神奈川県に、家族4人で暮らす
関根 牧子(46)和久の妻
溝口 保子(74)牧子の母。夫婦で農業をしている
溝口 仁(49)牧子の兄

■帰ってきた息子家族に不信感が募る

 関根さんが住む市は、横浜まで電車で1時間ほどの場所にあり、首都圏のベッドタウンとして急速に開発が進んでいるが、まだあちこちに田畑が広がり、雑木林も残っている。近くに住む関根さんの妻の両親も代々続く農家で、たくさんの土地を持っている。

「この辺りの農家は土地を売ったり、アパートにしたりして大金持ちですよ。といっても、うちの奥さんの親はごく普通の農家です。その土地を活用するとか、売って儲けるとかいうことなんて頭が回る人たちじゃない。だから暮らしぶりだって、極めてつましいものです。周りが勝手に、土地を持っているから大金持ちだと決めつけているだけ。それを真に受けたのが、バカな義兄というわけですよ」

 ずっと家を出ていた義兄が、家族3人で義実家に戻って来たのは1年前。義兄が農家を継ぐわけでもないし、義父母の健康に不安があったわけでもない。もちろん、義父母が「戻ってきてほしい」と頼んだわけでもなかった。「いずれ親の面倒を見ないといけないのなら今のうちに」という義兄の同居の申し入れを、孫と暮らせると喜んで受け入れた義父母だったが、次第に不信感が募っていった。

「おそらく義兄の嫁の入れ知恵だったんでしょう。同居していれば、将来相続で有利になる。でも嫁は日中姑と顔を突き合わせるのも嫌だし、家事もしたくないから、フルタイムのパートに行ってますよ。家賃も光熱費も払わないし、小学生の一人息子は姑に見てもらえるから、一石四鳥じゃないですか。とにかく義兄夫婦は計算高い。子どももセコくってね。キヨシっていうんですが、うちじゃセコシって呼んでます(笑)」

■冷蔵庫の果物の数も毎日チェックする

 同居して間もなく、義兄夫婦は「土地を生前贈与してもらって自分たちの名義に変え、二世帯住宅を建てたい」と言ったという。その言葉で、義父母の義兄夫婦に対する疑惑は決定的になった。

「義兄はとにかく嫁のいいなりらしいです。嫁の狙いは土地や財産だと確信してからは、もう全てが怪しいと義母は言っています。そもそも義兄の嫁は一人娘で、その母も離婚して生活は楽じゃない。いずれは義父母の家も農地も全部嫁方に乗っ取られてしまいそうだと言っています。権利書や預金通帳、生命保険の証書などはうちが預かっていますよ。とれた米や野菜を保存している納屋にも鍵をつけました。買っておいた食品や日用品もどんどんなくなるから、その日に使うものだけを冷蔵庫に入れて、あとはうちに隠してます。冷蔵庫の果物や卵の数も毎日数えては、1個なくなっているとか報告が来ます」

 そんな細かいことまで、と失笑してしまったが、それほど互いの溝は深いということだ。こうなると、もはや息子家族は泥棒でしかない。

「ここまで義兄夫婦とこじれた義父母は、義兄一家に出ていってもらって、僕たちと暮らしたいと言っています。でもそんなことになったら、義兄夫婦と泥仕合になるでしょう。それも面倒。奥さんの実家のこととは言いながら、だんだん傍観していられなくなっているのが、なんとも不安ですね」

 関根さんの実家は北陸地方のやはり農家だという。

「過疎地の農家なので、義父母のところとは大違いですよ。地価なんて安いもんです。売ろうとしても、売れないくらいでしょう。でも、家族が信じられなくなるくらい土地の価値が上がるなんて異常。それなら、都会に農地なんて持ってない方が幸せだと思いますね」

 そう言いながら、今住んでいる家は義父母の土地なんですけどね、と苦笑いしながら付け加えた。

傍観者も立派な関係者の1人になる

しぃちゃん

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