仁科友里「女のための有名人深読み週報」

タモリの教え「仕事はいいが、遊びは遅刻するな」は正しい――Mattの事例からわかること

2023/11/02 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

Mattの画像
(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「遅れることをMattタイムって呼んでいて」Matt
『中居正広の芸能人!お友達呼んできましたグランプリ』(10月28日、フジテレビ系)

 10月28日放送の特番『中居正広の芸能人!お友達呼んできましたグランプリ』(フジテレビ系)に出演したMatt。同番組は芸能人の友達が出演し、親しいからこそ知るその素顔を明かすという趣旨だが、Mattの友人で、どちらも億を稼ぎ出す実業家・河村姉妹によると、彼は時間にルーズすぎるという。

 具体例を挙げると、午後7時からディナーの約束をすると、Mattは7時に「これからネイル行くので、9時になりま~す」とLINEで連絡してくるそうだ。遅刻の最高記録は4時間、来ない時もあるという。

 Mattのお父さんといえば、元読売ジャイアンツのエース・桑田真澄氏。桑田氏の母校・PL学園野球部では時間厳守は当たり前で、日常生活の細部に至るまで厳しい掟があると聞いたことがある。そういうお父さんを持つだけに、そのあたりは生真面目なのかと思っていたが、本人の感覚は緩いようだ。

 Mattは「遅れることをMattタイムって呼んでいて」と悪びれる様子はない。同番組は、実際に河村姉妹の妹宅で開かれたパーティーを隠し撮りし、Mattの遅刻癖を検証するVTRも流していたが、やはり彼は時間通りにやって来ない。「30分は遅れると思います」と予想して、先に食事を始めた河村姉妹だが、50分たっても現れず、食事が終わりそうになってしまう。結局、Mattが到着したのは、約束の時間の1時間8分25秒後だった。

 一時、テレビに出まくっていたMattだが、番組中のトークで遅刻魔といわれていたことはないから、おそらく、プライベートの時だけ遅刻するタイプなのだろう。

 ここで急に思い出したのが、2010年放送のラジオ番組『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で明かされたタモリの言葉だ。タモリとオードリー・若林正恭、オリエンタルラジオ・藤森慎吾がゴルフの打ちっぱなしに行くことになったが、タモリは「仕事は遅刻してもいいが、遊びは遅刻するな」という考えなので、藤森は絶対に遅刻するなと若林に念押しし、念のため、朝電話で起こすことにしたそうだ。

 仕事に遅刻してはいけないのならわかるが、遊びに遅刻するなというのは、どういうことなのだろうと思ったが、ホームパーティーに連絡もせず、1時間8分25秒後に現われたMattを見て、なんとなくその理由がわかった気がした。

遊びに遅刻してくる人は「場の空気を盛り下げてしまう」という意味で罪深い

 電車の遅延や事故、自然災害など不可抗力ではなく、単に自分のミスで仕事に遅刻したとしよう。もちろん周りにも迷惑をかけるが、自身のマイナス評価に直結するので、心が落ち着かずに集中力を欠いて失敗してしまったり、周囲に謝りまくったりと気疲れするだろう。自分が遅刻して、自分が嫌な気持ちになる、自分の評価を落とすのは、ある意味自業自得なので仕方がないといえる。

 けれど、遊びの時の遅刻で嫌な気持ちになるのは、遅刻した本人ではなく、周りではないだろうか。「事件や事故に巻き込まれたのでは」と心配するし、中には「本当は来たくないのに、無理に誘ってしまったのかな」と深読みして自己嫌悪に陥る人もいるかもしれない。

 今回のようなホームパーティーでは、用意した食事をサーブするタイミングがはかれなくなってしまうだけに、困るのはMattより河村姉妹なのは明らか。連絡もなく平気で遅刻されたとあって、河村姉妹が「自分たちはMattにとって重要な存在ではないかもしれない」と悩んでしまう可能性を考えると、やはり遊びにおいては、遅刻する人より周りのほうが嫌な気持ちになりやすいだろう。

 こうやって考えてみると、タモリの言うことは正しいのかもしれない。遅刻した本人は、「仕事じゃないから、そこまで真面目になる必要はない」と言うかもしれないが、場の空気を盛り下げてしまうという意味で罪深いだろう。

 一般論でいえば、遅刻や不義理を繰り返せば、人間関係は決裂する。けれど、その点を差し引いても、相手に「仲良くしたい」と思ってもらえる理由や魅力がMattにはあるのだろう。とはいえ、中には、彼が有名人の父親を持っていること、また本人にもインフルエンサーとしての実績があることから、何かしらの魂胆を持って、彼の遅刻癖を見逃している人もいるかもしれない。「遅刻するな」とは言わないが、そのあたりには十分注意していただきたいものだ。


仁科友里(ライター)

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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Twitter:@_nishinayuri

最終更新:2023/11/02 21:00
タモリとの遊びの約束、緊張感しかない
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