コラム
仁科友里「女のための有名人深読み週報」

石橋貴明の「若い子とがんがんセックス」宣言に“老い”を指摘――「新しい大御所」研ナオコの秀逸さ

2022/12/01 21:00
仁科友里(ライター)

私たちの心のどこかを刺激する有名人たちの発言――ライター・仁科友里がその“言葉”を深掘りします。

メイク動画が大バズリ、若者から人気の研ナオコ(C)サイゾーウーマン

<今回の有名人>
「できるんだったら、やってきな」研ナオコ
『石橋貴明プレミアム第18弾 タカさんと話題の人たちあっち向いてホイ!』(Abema TV、11月27日)

 かつて一世を風靡し、顔と名前は広く浸透しているけれども、今、テレビで見ることは減った――そういう芸能人たちが、「ベテラン」とか「大御所」と呼ばれ、時折バラエティ番組に出ることがある。制作側の狙いは、「あの大御所が登場」という演出により、番組の格を上げることに尽きるだろうから、大御所本人がそこで“結果”を出すことはそれほど求められていないと勝手に思っていた。

 しかし、11月27日放送『石橋貴明プレミアム第18弾 タカさんと話題の人たちあっち向いてホイ!』(Abema)に出演した2人の大御所を見て、今のバラエティで“結果”を残せない「古い大御所」と、“結果”を残せる「新しい大御所」がいるのだと思い知らされた。

 地上波でのレギュラーを失い、現在はYouTubeチャンネルでの活動が中心のとんねるず・石橋貴明。まだ60歳と老け込むには早いはずだが、なんだか“アップデート”できていないように思うのは、私だけだろうか。『石橋プレミアム』でも、今の時代に合っていない価値観をさらすばかりで、“結果”を残せない「古い大御所」ぶりが際立った。

EXIT・兼近大樹に「バカじゃねーの?」とダメ出しする石橋貴明の“古さ”

 石橋は、お笑いコンビ・EXITをゲストに迎え、今夏放送された『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)を振り返る。同番組で100キロマラソンに挑戦したEXIT・兼近大樹が、両国国技館のゴール直前で泣いたことに触れ、「最後に泣いてるんだよ!」「バカじゃねーの?」「なんで今まで作ってきたこのキャラを、ここでぶっ壊しちゃうんだよって」とダメ出しをしていた。

 「キャラをブレさせるな」という指摘はもっともだと思うが、EXITは「チャラさを装っているけれど、実はとても真面目」が持ち味なのだから、泣いたとしてもそれほどキャラに反していると私は思わない。マラソン前、「加山雄三さんに歌わせねぇでゴールしてやるよ」と息巻いていた兼近が、「最後は加山雄三さんと握手して涙」したというのも、彼らしいまとめ方だったと思う。

 石橋いわく、もし自分が兼近と同じくらいの年齢のときに、マラソンランナーのオファーを受けたら「1時間前に飛び込んで(ゴールして)、谷村(新司)さんの横で『チャンピオン』を歌う」そうだ。

 スタジオでは笑いが起きていたものの、無茶なことをするのが「面白い」とされる時代はとっくに過ぎた。その流れについていけなかったために、自身の番組の視聴率が低迷したことを、石橋は理解していないような気がする。兼近の相方・りんたろー。が「(そんなことをしたら)時代にハジかれますって!」と言っていたが、それが現代的な感覚といえるのではないだろうか。

 石橋のYouTubeチャンネル「貴ちゃんねるず」を見ていても、石橋の古さを感じることがある。女性ADの写真集制作のため、石橋は美のカリスマ・IKKOにメイクを頼む。IKKOのスキンケアによって、女性ADの肌は柔らかく、皮をむいたゆで卵のようにつるんとした状態になったのだが、石橋は彼女の肌を「ゆで卵」とたとえた後で、IKKOに対して「大涌谷のゆで(黒)たまご。クセェ」と言って笑っていた。

 石橋は、「YouTubeはテレビでないから、コンプライアンス的に問題がない」と言うかもしれないが、「女性が2人いたら、片方の外見を褒めて片方の外見を下げる」という、昔からやっていた笑いの技が、今の人に受け入れられるのか疑問に思う。

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