コラム
知られざる女子刑務所ライフ154

後藤祐樹『アウトローの哲学』から読む、刑務所でのイジメと読書の大事さ! 元女囚がウルッときたポイントは?

2022/10/16 16:00
中野瑠美改め瑠壬(作家)

 でも、後藤さんはイジメにも負けずに読書を続けて、約5年の服役中に推理小説とかを800冊を読んで、なんと漢字検定や簿記検定、英検を2級まで取っています。

 お姉さんのおかげもあって14歳でデビューしてるから、学校もほとんど行ってへんし、事務所でもトラブルばかり起こしてたそうですが、もともと頭がええんでしょうね。

 最初は漢字をほとんど知らなくて、本は辞書を引きながら読んで、どんどん言葉を覚えると、辞書がいらなくなるんですね。自分の気持ちを言葉にできるようになって、そうなると腹が立つことが減ったそうです。これ、わかりますよね。気持ちをどう言っていいかわからなくて、「キーッ!」ってなっちゃうやつ……。やっぱり読書って大事ですね。

 しかも、がんばった理由が「家族を喜ばせるため」ちゅうのにはウルッときました。でも、いつも面会に来てくれたお母さんは服役中に亡くなったそうで、これはめちゃくちゃキツかったと思います。シャバで亡くなってもつらいのに。

 このオカンとお姉さんたちは、大阪のオバチャン以上のパワーなんで、そこもぜひ読んでください。後藤さんにはお姉さんが3人いてて、一番上のお姉さんからは灰皿で殴られたことがあるそうですよ。一番下で1歳上のお姉さんのゴマキは、そんなことはないようです。

 本書を読む限り、後藤さんは、つらいことを乗り越えて、ちゃんと更生できてると思いましたね。クスリ(違法薬物)もやってへんみたいやし、奥さんとワンちゃんたち、お姉さんたちに支えられていますからね。家族とええ関係でも、更生に時間がかかる人もけっこういてますが、後藤さんはもう大丈夫でしょう。

 ちなみに後藤さんのインスタによると、この本は「人生で最後の書籍」になるそうです。ちょっともったいない気もしますね。

中野瑠美改め瑠壬(作家)

1972年大阪・堺市生まれ。覚せい剤取締法違反で4回逮捕され、合計12年の懲役を経験。出所後は、刑事収容施設への差し入れ代行業や収容者と家族の相談窓口などを行う。現在は堺市内で「Night Space祭」を経営。著書『女子刑務所ライフ』(イースト・プレス)がある。

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Instagram:@rumichibi1209

瑠壬公式YouTube

最終更新:2022/10/16 16:00
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