コラム
オンナ万引きGメン日誌

夏の風物詩「アウトドア系」万引きの実態とは? 万引きGメンが見たディスカウントストアでの犯行

2022/09/17 16:00
澄江(保安員)

(思ったより、お客さんが少ないわね)

 勤務開始直後から激しい雨が降ってきたため、お客さんの姿はまばらで、警戒すべき不審者も見当たりません。スマホのお天気アプリで雲行きを確認すれば3時間ほどでやむと予報されていたので、少し早めの食事休憩をいただくことにして、勤務後半に今日の勝負をかけることに決めました。

 従業員などによる内引き対策も兼ねているため、極力目立たぬよう気をつけながら、従業員向けの休憩室で食事を済ませます。身支度を済ませて、2階にあるカー用品やキャンプ用品などを扱う売場の通用口から店内に戻ると、前方から歩いてくる男性3人組が目に留まりました。

 一見して、20代前半くらいでしょうか。白いスウェット上下に、ブランド物の派手なスニーカーを履いた男がリーダーのようで、ダボついた派手な柄の長袖Tシャツに、ニット帽をかぶったラッパーのような恰好をした2人がその脇を固めるように歩いています。彼らの首には、さまざまな太さのゴールドチェーンが誇示するように巻かれており、その重量によって格付けされているように見えました。羽振りの良さをアピールしているものの、年齢や振る舞いが若いためにバランスが悪く見え、初見のイメージを言えば半グレか特殊詐欺グループのメンバーといったところです。

(何を買いにきたのかしら)

 粗暴な雰囲気を纏いながら、大きな声ではしゃぐ様子が気になって動向を見守ると、彼らの行き先はアウトドア用品売場でした。まるで買う気は感じられないのに、目につく商品を手に取っては戻すという行為を、ただひたすらに繰り返しています。きれいにディスプレイされた商品を、遠慮なく乱暴に扱う彼らの振る舞いに、辟易としたことは言うまでもないでしょう。

 しばらくの間、戯れながら商品を弄ぶ彼らの行動を見守ると、リーダーと思しき男がキャンプ用のキャリーワゴンを引いて釣具コーナーで足を止めました。キャリーワゴンの荷台に、ルアーや釣り糸、レインコートといった商品を、おそらくは人数分、特に選ぶことなく次々に載せていきます。それからまもなく、各階精算のお願いを聞くことなく売場を離れた3人は、エレベーターに乗って下に降りていきました。

 店内の客数に鑑みると、一緒に乗り込めば身バレする可能性が高く、脇にある階段を駆け下りて後を追います。すると、エレベーターを降りて出口に向かった3人は、風除室にキャリーワゴンを放置すると、その代わりにカゴを載せたカートを押して食品売場に入っていきました。

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