コラム
【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

天皇家の医学書は体位マニュアル「四十八手」の先祖? 難解で高尚なエロスの世界

2022/09/24 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

堀江 平安時代の、とくに女性の手によると考えられる物語文学では、女性は夜、男性が来るのを寝所でただ待っているだけで、男性が来ても積極的な反応を示すこともなく、なされるがまま……みたいな描写が定番なんですが、長い間、天皇家秘伝の書だった『医心方』、とくに「房内」を読んでいると、高貴な方々は非常に情熱的かつ能動的にセックスに向かい合っていた(のかもしれない)と思わせられますね。

 なお、『医心方』「房内」の冒頭に掲げられた「至理第一」の章に引用された、古代中国で成立したとされる書物『素女経』の一節からは、「天」と「地」のエネルギーがそれぞれ交わり合い、世界は永遠に形作られゆく、と考えられていたことがわかります。

 「天地得交会之道 故無終竟之限」……つまり、天と地は、まるで男女がセックスするかのようにふれあい、交わる道を心得ている。ゆえに永遠で、終わりがないとありますね。

 面白いことに、これは天皇家の歴史を刻んだ『古事記』(そして『日本書紀』)の冒頭部の「国生みの神話」を彷彿とする描写です。イザナギとイザナミという男女の二人の神がセックスを通じて、日本の国土を創り出したのですから……。

――セックスって本当はすごく壮大な行為だったのかもしれませんね……。難解な古代日本の性医学書の分析と解説、ありがとうございました。

堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

1977年、大阪府生まれ。作家・歴史エッセイスト。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業。日本・世界を問わず歴史のおもしろさを拾い上げる作風で幅広いファン層をもつ。著書に『偉人の年収』(イースト・プレス)、『眠れなくなるほど怖い世界史』(三笠書房)など。最新刊は『隠されていた不都合な世界史』(三笠書房)。

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Twitter:@horiehiroki

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最終更新:2022/09/24 17:00
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