【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

一晩で10人以上と交わり、射精は月に2回まで……天皇家に伝わる非現実的な「セックス書」とは?

2022/08/27 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)
GettyImagesより

「皇族はスーパースター」と語る歴史エッセイストの堀江宏樹さんに、歴史に眠る破天荒な「皇族」エピソードを教えてもらいます!

――前回から「天皇家秘伝のセックスマニュアル」と呼ばれた医学書『医心方』の「房内」、つまり「ベッドルームでの知識」について歴史エッセイストの堀江さんに分析していただいています。

堀江宏樹氏(以下、堀江) 「房内」の冒頭部分で、理想のセックスとは何かが語られています。男女のセックスが「鍋でいろんなモノから煮物を作る行為」にたとえられているのは興味深いですね。

――高貴な方向けなのに、いきなり庶民的ですね?

堀江 「如釜鼎能和五味」というのが原文で、その部分の私の意訳が「煮物」うんぬんなのですが、鍋料理ではさまざまな具材を一緒に煮込んだら、栄養値がアップするっていいますよね。

 恋愛もセックスもいろんな要素が絡み合って、素敵な化学変化を見せるものです。「房内」はセックスマニュアルなので、女性器全体がアツアツの鍋、具材がペニスだと思ってください(笑)。

 ここで興味深いのが、キリスト教の倫理観においてセックスとは子宝を授かるためにする行為であって、快楽追求、暇つぶし、ケンカの仲直りとか、子作り以外の目的で行ってはダメなんです。でも中国とか日本とか、東アジア文化圏では、何千年も前の古代の時点で、すでにセックスは子作りのためだけにあるものではない、という価値観が成立していたのですね。

――90年代に女性誌「an・an」(マガジンハウス)で有名になった「セックスできれいになる」の元祖ともいうべき「セックスで元気になる」という発想に近いかも。

堀江 そうです。しかも、そのキャッチコピーが生まれる何千年以上も前に発想され、実践されていた「らしい」のは興味深いというしかありません。「らしい」というのは、『医心方』「房内」のマニュアルはかなり複雑怪奇で、これを実践しようと考えていたら、本当にセックスなんてできるだろうか……と思ってしまう点が多いからです。

 たとえば、「九浅一深」の法というのがあるんです。男女が合体した時、男性の腰の動かし方にもいろいろと制約があって、それをまとめたのが「九浅一深」という言葉です。俗に「リズミカルにしないとダメ」みたいに理解されている概念ですが、女性のため、というより男性が簡単には絶頂に達しないため、加減して腰を動かさないとダメだよ……という教えのような。

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