【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

天皇家の医学書は体位マニュアル「四十八手」の先祖? 難解で高尚なエロスの世界

2022/09/24 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

男性に美と健康をもたらす「女性の精液」とは?

――男性が射精しちゃうということですか?

堀江 違うのです。これは『医心方』に書かれた古代中国由来の性医学の興味深いところなのですけど、「女性が絶頂に達すると、女性も精液を漏らす」という考え方があるのです。わかりやすくいえば、エクスタシーの状態の膣からにじみ出る分泌液こそが女性の精液であり、それは特別なパワーを秘めた液体で、男性に美と健康をもたらすのです……。この思想は江戸時代にも引き継がれていますよ!

――それにしても「女陰開帳」とは秘仏のご開帳みたいでありがたいですね(笑)。

堀江 こういう調子で「九法」、「三十法」ともに物々しい名前の付いた体位とその解説が語られていきます。

 しかし……『医心方』は、ほとんどの部分が文字による解説のみ。図解はあえて使わない書物なので、食い入るように読まないと何がどうなっているのかがわからないのが難です。その点で、この体位マニュアルの部分、わざと「わかりにくさ」を狙って書かれたものではないか、とも思われます。難解で高尚なエロスの世界が演出されていたのではないでしょうか……。

――やけにリアルだったり、逆に難解で、文章に食らいつかないと理解さえできない内容だったり……。読み手としては翻弄される書物ですよね。しかし、日本の高貴なお姫さまって性的な方面には消極的なイメージがあったのですが、どうやら違うようですね?

偉人の年収/堀江宏樹
そして現代はセックスレス大国だよ
アクセスランキング