芸能
ドラマ俳優クロニクル

嵐・二宮和也、『ハンドク!!!』から『マイファミリー』まで変わらぬ刺々しさ――見ていてイラッとする俳優としての“魅力”

2022/09/13 12:30
成馬零一
ニノも最初は「脇役で輝くタイプ」だったね(写真:サイゾーウーマン)

――ドラマにはいつも時代と生きる“俳優”がいる。『キャラクタードラマの誕生』(河出書房新社)『テレビドラマクロニクル1990→2020』(PLANETS)などの著書で知られるドラマ評論家・成馬零一氏が、“俳優”にスポットを当てて過去の名作ドラマをレビューする。

 今春クールに「日曜劇場」枠で放送された『マイファミリー』(TBS系)は、嵐・二宮和也にとって久しぶりの連続ドラマ主演だったが、全話平均世帯視聴率12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。同クール一番のヒット作となり、俳優としての存在感を見せつけた。

 二宮が演じたのは、ゲーム会社の社長・鳴沢温人。多忙な温人は、家族をないがしろにしていたため、夫婦仲は冷めきっていた。そんなある日、娘が何者かに誘拐されてしまう。子どもの誘拐事件を軸にした物語は、犯人を予想する「考察ドラマ」としてSNS上で盛り上がりをみせたが、何より、誘拐事件に立ち向かうことで家族の絆を取り戻し、父親として成長する温人の姿が魅力的だった。

 2007年放送の学園ドラマ『山田太郎ものがたり』(同)で共演した多部未華子が妻役を務めたこともあってか、大人になった二宮の魅力を印象付けることにもなったが、むしろ強調されていたのは、大人になりきれない温人のふてぶてしい姿。国民的アイドルグループ「嵐」のメンバーでありながら、見ていてイラッとするようなトゲのある男を演じられることこそが、俳優・二宮和也の魅力だと改めて感じた。

 そんな二宮の存在を筆者が強く意識した作品は、01年放送の医療ドラマ『ハンドク!!!』(同)だ。

 本作は、最新医療のシステムを備えた杉田玄百記念病院(SMH)で働く半人前の医者(ハンドク)たちの成長を描いた作品。池袋の元チーマーで、人一倍熱い信念を持つ主人公の研修医・狭間一番を長瀬智也が演じ、彼の出世作といえる『池袋ウエストゲートパーク』(00年、同)の演出を手掛けた堤幸彦氏が、『ハンドク!!!』でもチーフ演出を務めた。

 そのため『ハンドク!!!』は、“『池袋ウエストゲートパーク』テイストの医療ドラマ”といった趣で、同作で開眼した長瀬の勢いのある芝居が印象に残るドラマだったことは間違いない。しかし、脇役でありながら長瀬に迫る圧倒的な存在感を示したのが、一番の舎弟・坂口信幸(ノブ)を演じた二宮だった。

 ノブは身寄りがなく、住み込みで新聞配達の仕事をしているチンピラだが、普段は軽薄で情けない男。しかし彼には裏の顔があり、チーマー仲間からは「4号線の鬼殺しのノブ」と呼ばれ、恐れられていた。ヘラヘラしているかと思いきや、突然凄みを効かせてブチ切れるノブの“ヤバさ”は、『ハンドク!!!』に不穏な緊張感を与えた。

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