【連載】堀江宏樹に聞く! 日本の“アウト”皇室史!!

天皇にとって、セックスは国事行為! 1,000年前から宮中に伝わる「すごい」エロティックな教え

2022/09/10 17:00
堀江宏樹(作家・歴史エッセイスト)

戦国時代後半には、『医心方』が宮中から民間に広がっていった

堀江 ちなみに「九気」って言われていますが、『医心方』には8つしか書かれていません。現存する最古の『医心方』の写本は、現在放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の舞台の時代、つまり12世紀に書かれたものです。一つ写し忘れてしまったのでしょうかね(笑)。

――もともとは天皇家を中心とする高貴な方々だけのセックスマニュアルであった『医心方』「房内」ですが、戦国時代後半に民間に流出していったのは、何か理由があるのでしょうか?

堀江 『医心方』を医師・半井瑞山に下賜した正親町天皇の治世は、織田信長たちが活躍した時代です。かつては天皇に集中していた権力が、地方の戦国大名にも分散してしまっている状態……それは「房内」の想定読者層が、地方にも広がっていった状態だと言い換えられるかもしれません。

 半井瑞山の子孫である半井家と並ぶ医家の名門・曲直瀬(まなせ)家出身の曲直瀬道三(まなせどうさん)も、「房内」の知識をベースにしたセックスマニュアルの書物『黄素妙論(こうそみょうろん)』を、毛利元就に献上しています。曲直瀬道三の顧客には、織田信長などもいたんですよ。

――織田信長まで、この書の性的な情報に影響を受けたのでしょうか?

ときめく源氏物語 / 堀江 宏樹 著
『源氏物語』に濡れ場があったらすごそう
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