【サイジョの本棚・打ち合わせ編】

乃木坂46・齋藤飛鳥の愛読書に“セクシャルなテーマ”がある? 『夜のミッキー・マウス』読んでみた

2022/08/28 11:00
保田夏子

認知症の老女を通して、「老い」を肯定する物語

ライター・保田 そうだね、特に過去のパートは重い。でも、これがカケイさんの話し言葉でつづられることで、明るさや優しさが自然と染み込んできて、どんどん読み進めたくなるんだよね。

 序盤のカケイさんは、認知症を患った老女の定型のように見える。静かにしなきゃいけないところで黙っていられなかったり、現在のことはすぐ忘れちゃったり。でも、カケイさんが語る過去のエピソードは鮮やかで、彼女の印象がどんどん変わってくるんだ。つらいことの多い過去だけど、その中でも優しく美しい思い出が光っていて、1人の人間として、人生の奥行きを感じさせてくれる。

編集・B子 カケイさんの「語り」だからこそ、物語にグッと入り込めるのかもね。

ライター・保田 読み終えるころには、カケイさんがすごくチャーミングに見えるし、彼女の人生を心から肯定したくなる。それって、自分にもいずれやってくる「老い」をも肯定することに近いんだと思ったよ。だから、齋藤さんはもちろん、老いや認知症の話なんて自分にはまだ無関係だと思っている人、もしくは、あまり直視したくないと思っている人にも勧めたいな。

編集・B子 最近、脂っこいものが受け付けなくなって「老い」を感じてたけど、そんな自分も肯定できそう。未来の自分に会いに行くような気持ちで、私も読んでみようかな!

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