仁科友里の「女のための有名人深読み週報」

叶姉妹の人生相談が「人を傷つけない」ワケ――ポスト瀬戸内寂聴としての腕前

2022/07/21 21:00
仁科友里(ライター)

叶姉妹の人生相談、リスナーによる「自分本位」の解釈に違和感

 正直、私にはあんまりピンとこないが、“人の目を気にする必要はない”“他人を空気や物質と思え”という教えは、人間関係について考えすぎてしまい、がんじがらめになっている人には、待ちに待った言葉なのかもしれない。あるリスナーは「自分本位で考える、自分がどうしたいのかを、明確にお姉さまのほうが話してくれて、そこですごい共感ができる」と話していた。

 叶姉妹は「私たちは絶対に決めつけとか、押しつけとかしない」「いろんな方がいろんな感じで捉えてくださっている」「正解(の回答)をしなくていい」と言っている。なので、叶姉妹のアドバイスの“真意”というものが、完璧にはつかみきれないのだが、リスナーの女性の「自分本位で考える」という解釈には違和感があった。

 自分本位というのは、他人の気持ちではなく、自分の気持ちを中心とした物事の考え方を指し、どちらかというと“自分勝手”寄りの言葉である。確かに恭子サンは「もっとみなさん自由に」と言っていたし、叶姉妹としても、人目を気にするな、他人なんて空気と思えというような発言をしているので、自分中心の考え方をしているように感じる人もいるだろう。

 しかし、その一方で、こうも言っている。「もっと自由に、もっと心を解き放していいのですよって話しているのですが、その中には責任と覚悟をちゃんと持って、人様には迷惑をかけない」「これが基本の叶姉妹のポリシーの一つです」。

 つまり、より多くの自由を謳歌するために、背負わなければならないものもあると言っているわけだ。

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