コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験ブームに流され、3年間で400万円課金! 「なのに入学先は偏差値48校」「公立でよかった」母の言えない本音

2021/02/28 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 小4のうちは塾の授業も週2日、月謝も3万5,000円ほどだったので、「時間的にも金銭的にも、そこまで負担は感じなかった」という由美子さん。
 
「やがて5年生になり、塾の言うままオプション講座を取るようになると、その年だけで100万円近くかかってしまいました。でも、美紗の偏差値は45より上にはいきません。誘ってくれた真子ちゃんは、あれよあれよという間に最上位クラスなのに。もう、私は悔しくて、情けなくて、6年になると、美紗の成績を上げたい一心で、D塾の補習をしてくれる個別塾まで行かせました」

 真子ちゃんとは小学校も塾もクラスが離れてしまったせいか、自然と疎遠になってしまったという。

 由美子さんは何度も「受験をやめよう」と思ったそうだが、一度、参入してしまうと、撤退するのが難しいのが中学受験である。費やすお金も時間も膨大だけに、今さら、へたにはやめられないものなのだ。
 
 小学校→塾→補習塾という生活で、疲れ切っていることがわかっていても、「頑張れば、成績は上がる!」と、由美子さんは美紗ちゃんを鼓舞し続けたという。

 結局、美紗ちゃんが昨年挑戦した中学受験は4戦3勝。費用の面でいえば、小6の1年間だけで200万円を突破。3年間の総額で400万円は超えたという。

「幸い美紗は、進学した私立中学を気に入っています。私も、このコロナ禍で大変手厚い指導がなされていることに感謝はしているんです。でも、正直、入学から1年が過ぎようとしている今も、私の中の『残念』という悔しさは消えなくて……。『あんなにお金をかけて、偏差値48のここなら、公立でよかった』って、どうしても思っちゃうんです。美紗には絶対、言えないですけどね……」

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