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BTS兵役延期をK-POPファンはどう受け止めた?「不公平」「東方神起やBIGBANGは行ったのに」

2020/12/12 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 12月1日、韓国の国会でBTSのような大衆芸術分野のアーティストに2年間の兵役延期を認める兵役法改正案が可決された。これに対して世界中のK-POPファンの間で様々な意見が交わされている。

 現在、韓国の成人男性には28歳の誕生日までに入隊し、約20カ月間の兵役につく義務がある。クラシック音楽家やスポーツ選手に対しては兵役の免除や延期を認める制度があったが、BTSのようなK-POPアイドルに対してそのような仕組みはなかった。

 今回の兵役法改正により今後は、文化体育観光相から推薦を受ければ、K-POPアイドルも30歳まで入隊を延期できる。BTSの最年長メンバーであるジンは12月4日に28歳を迎え、来年3月にはSUGAも28歳になるが、彼らは功績を認められて延期の対象になるとみられている。

 これに対してBTSのファンが喜びの声をあげる一方、少なくない数のK-POPファンが不公平感を抱いているようだ。ジンの誕生日から考えても、今回の法改正はBTSのために行われたようにしか見えないからだ。一部では「BTS法案」という通称まであるほどである。

 BTSは米ビルボードの総合シングル・アルバムチャートで1位を獲得するなどのワールドワイドな活躍が政府にも認められたためこのような展開になったわけだが、グローバルな活動を展開し、結果を残してきたアイドルはBTSだけではない。

 東方神起、BIGBANG、EXOといったグループのメンバーも世界各国で人気を博し、K-POPの普及に大きな役割を果たしたが、特別な措置はなく一般の男性と同じように兵役に行っている。

 一般の韓国の国民も、不満を抱いているようだ。韓国メディアKBSの報道によると、改正に対して「なぜビルボードが基準なのか」「2位や3位ではダメなのか」といった意見もあり、10月に行われた世論調査では「公正性と公平性に欠ける」という反対意見が48%あったという。

兵役はK-POPアイドルの運命を大きく左右する
 K-POP男性アイドルは兵役によって活動が中断される宿命を背負っている。グループとなるとメンバーが入れ替わりで兵役に行くため、全員が揃うまでに時間がかかるケースもある。

 SUPER JUNIORは2010年7月にカンインが入隊したのを皮切りに次々とメンバーが兵役に行き、2019年5月にキュヒョンが帰ってくるまで約10年もの間、完全体(メンバーが全員揃っていることを指す言葉)での活動ができなかった。

 アイドルにとって2年近い空白期間はあまりにもダメージが大きい。その間にK-POP業界の状況が変わり、グループの人気が凋落したり、カムバックできなくなってしまったりする。

 2006年にデビューしたBIGBANGは、アジア各国における韓流カルチャーの定着に大きく貢献したK-POP史において最大の功績を残したグループのひとつだが、人気絶頂だった2017年にT.O.Pが、翌年にG-DRAGON、SOL、D-LITEも入隊している。その後、残されたメンバーのV.Iが大スキャンダルで脱退する事態もあり、2019年10月に中心メンバーのG-DRAGONが帰ってきてから1年以上経ったいまでもグループの活動は再開していない。

 兵役の問題はこれからもK-POPアイドルを悩ませ続けるだろう。今年に入ってからも、SEVENTEENのジョンハンとエスクプスが大学に入学したとの報道に関して、ファンの間で兵役に関わるものでなないかという憶測がたち、物議をかもしたのは記憶に新しい。

 韓国の人々にとって兵役は国民であれば絶対に果たさなければならない神聖な義務として受け止められており、政治家の子息や芸能人が兵役を逃れようとすればすさまじいバッシングが起こる。BTSのメンバーも、メディアから兵役について質問されるたびに「兵役は当然の義務」といった立場を明らかにしてきたが、背景にはそうした国民感情を刺激しないようにという思いがある。

 ただ、今回の法改正で認められたのは免除ではなく、あくまで延期。2年後までBTSの快進撃が続いていた場合、兵役をめぐる議論はまた再燃すると思われる。

(momotoxic)

最終更新:2020/12/12 20:00
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