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NiziUメンバーの連続体調不良、TWICEジョンヨン休止。長期休養を招く、K-POPアイドル界の構造

2020/11/23 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 12月2日のデビュー前に、主力メンバーのミイヒが体調を崩し、離脱しているNiziU。さらにマヤも体調不良で、『NHK紅白歌合戦』の初出場会見を欠席した。ミイヒはオーディション中から明らかにげっそり痩せていく姿が写されており、多くのファンが心配を寄せていた。

 本格デビューを目前に控えて日本に帰国しているNiziUだが、韓国で長く共同生活を送りパフォーマンススキルを磨いてきた。その“お姉さんグループ”にあたるTWICEのジョンヨンも、今年10月から長期休養に入っている。

 JYPエンターテインメントの発表によると、ジョンヨンは「心理的に大きな緊張状態や不安を抱えている」「専門的な医療措置をはじめ、絶対的な安定と休息が必要だと判断した」という理由で長期休養に入った。TWICEでは昨年7月にミナも不安障害のためグループの活動を離れている。ミナは今年2月にようやく本格的に活動を再開させたばかりだが、入れ替わるようにジョンヨンが倒れてしまった。

 TWICEはかねてよりファンが「スケジュールがあまりにも過密なのではないか?」と心配しており、NiziUの件も含めてJYPエンターテインメントへの批判がわいているが、K-POPアイドルの働き方を見直すべきはJYPだけではないだろう。TWICE以外にも精神的な不調を理由に活動を休止するアイドルは、男性女性問わず、非常に多いのだ。

 ATEEZのミンギ、赤頬思春期のアン・ジヨン、MONSTA Xのジュホン、SEVENTEENのエスクプス、宇宙少女のダウォン、Stray Kidsのハン、元Wanna Oneのカン・ダニエル、OH MY GIRLのジホなど、枚挙に暇がない。

 また、具体的なことは公表されなかったが、DAY6の一部メンバーが精神的な不安症状を訴えたため、アルバム発売にともなうプロモーション活動が白紙になる出来事もあった。

 一体なにが、このような事態を招いているのか。外から見ただけでもそこには、世界を股にかけて活動する過密スケジュール、ハードなレッスンと練習量、ネット上の毀誉褒貶、ダイエットをはじめ厳しい自己管理を強いられること、メンバーやスタッフとの人間関係、アイドルの数が多く世代交代も早いため絶えず競争を強いられる環境にあること──アイドルとして活動する若者の心を蝕む要素が揃っている。

 SHINeeのジョンヒョン、f(x)のソルリ、KARAのク・ハラなど、アイドルが自ら命を絶つ悲劇も起きている。最悪の事態は免れたものの、今年に入ってからは、メンバーからのいじめを告発した元AOAのクォン・ミナがInstagramにリストカットの傷跡を投稿する事件もあった。

 一方で、こうした悲劇を繰り返さぬよう、各事務所は精神的な不調の見られるメンバーに休養を与えているとも言える。だが応急処置のような対応に終始するのではなく、先にあげたような問題の根本をひとつずつ改める必要があるのではないか。

 それは事務所単位ではなく、業界全体で取り組んでいかなくてはならない課題のはずだ。

 これはK-POPアイドル固有の問題ではなく、日本のアイドル界にも共通する。

 ジャニーズ事務所からは2018年にSexy Zoneの松島聡、King & Princeの岩橋玄樹がパニック障害の治療のために相次いで長期休養した。松島は今年8月から活動を再開させているが、岩橋は現在も復帰に至っていない。

 AKB48グループや坂道シリーズにも休養した経験をもつメンバーは多い。SKE48の松井珠理奈、HKT48の兒玉遥、乃木坂46の北野日奈子と中元日芽香、欅坂46の今泉結唯、日向坂46の濱岸ひよりなど──選抜に選ばれる主要なメンバーだけでもこれだけの数があげられる。

 厳しいスケジュール、ネット上のバッシング、過当競争などの問題はK-POPアイドルも日本のアイドルも共通して抱えるものである。

 「有名税」「人気者の宿命」などと放置することは許されない。日本の芸能界もアイドルとして働く若者たちの健康を守るため、業界構造の改善を考えるべきではないだろうか。

最終更新:2020/11/23 20:00
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