コラム
高橋ユキ【悪女の履歴書】
ミイラ化した全裸死体ーー離婚した女二人の同居生活、消えた女と庭の遺体【藤沢つづら詰め殺人事件:前編】
2020/07/24 19:00
首を絞められて殺害されたのちに、つづらに押し込まれ、庭に埋められていた逸子さんは、もともとこの家に一人で暮らしていた。1947年に東京都の公務員と協議離婚し、1953年に家を購入。離婚の際、約300万円の財産を分けてもらい、株券の配当や預金の利子でつつましく暮らしていたのだという。母は彼女の性格をこう評する。
「逸子は子供の頃から静かでおとなしい子でした。友達もあまりなく、離婚してからは誰も知らない遠くで暮らしたいと言っていた。藤沢市に移り住んでからは、身体も肥えて、元気そうに過ごしていた」
隣家の住民も同様に、物静かな逸子さんを記憶していた。
「綺麗好きで几帳面で無口な人でした。良家の育ちらしく、世間知らずの人でした」
離婚後の穏やかな生活が一変したのは、藤沢に移り住んでから1年がたったころ。「四間もある家で一人でいるのはもったいない」と、不動産仲介業者を介して知り合った一人の女と、同居を始めたことがきっかけだった。
――後編はこちら
最終更新:2020/07/27 12:41