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「東大女子お断りサークル」が隠そうともしない女性蔑視は、集団強制わいせつ事件と地続きではないか

2020/01/31 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 東京大学の女子学生が、性別を理由に自大学サークルの入部を断られる問題。サークルの新入生歓迎行事をとりまとめている東大の学生団体は今月26日、そういった行為は“差別”だとし、新入生オリエンテーションでの勧誘に参加させないなどの規制をすると発表した。

 「東大女子お断りサークル」とは、東大の男子学生と他大学の女子学生だけでなるインカレサークルのことだ。昨年の東大入学式の祝辞で上野千鶴子教授が「東大女子お断りサークル」について触れたことが発端で、大学内は問題視されていたという。

「東大女子お断り」は女子学生の割合が低いせい?
 1月30日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)では、東京大学サークルの「東大女子お断り」の実態について特集。

 番組は「東大女子お断り」を経験したことがあるという東大女子学生たちに取材し、<東大女子が入れるテニスサークルは2つしかない。明らかにおかしい><黙認している東京大学も許せない>といった声が上がった。

 実際に「東大女子お断りサークル」に“理由”を問い合わせたところ、以下のような返事があったそうだ。

<伝統としか答えられません。うちのサークルでは東大女子お断りです>
<他大の女子が大勢いる中、東大女子が少数いてもなじめなさそう>

 これらの回答では明確な理由が示されているとは言えない。なぜ、東大男子は東大女子の入部を認めないのだろうか。

 番組では東京大学大学院総合文化研究科教授でジェンダー論を専門とする瀬地山角氏の意見も取り上げた。瀬地山教授の分析によると、東大では女子学生の割合が2割に満たず、男子学生は“出会い”を求めるために他大学の女子学生をサークルに入れるそうだ。

 すると司会の加藤浩次は「数の理論かい?」と反論。

<数の論理かい? 女子率が低いなら東大女子もOKにしてプラスアルファにすればいいじゃん>
<東大の教授に聞いているから女子率低いのを理由にしちゃってるんじゃないの?>

 加藤の言うように、異性との“出会い”が目的なのであれば、わざわざ東大女子を締め出す必要はないだろう。むしろ歓迎した方が、女子学生との交流は増える。

 また、水卜麻美アナは自分の出身大学である慶應義塾大学でも、そのようなサークルが存在したと話した。慶應大の場合、東大のように極端に女子学生の比率が少ないということはない。慶應大の各学部の男女比は、ホームページで確認できる。

 東大だけに限らず、自大学の女子の入部を拒否するサークルが存在するのだ。一体なぜなのだろうか。

 瀬地山教授は、割合と共に<自分たちよりも学歴が低い女子を選ぼうという意識もはたらいている>とも指摘していた。『スッキリ』の取材を受けたひとりの東大男子学生も、東大女子の入部を拒否するのは同様の心理だと話す。

<東大の男性は女性に対して優位に立ちたいんじゃないですか?>
<東大の女性は東大の男性に媚を売るとかはない、同じ大学で対等なので>
<東大男子がきゃぴきゃぴした子と遊びたいっていう願望をかなえるために勝手に行っていることで、誰も差別はしていないと思う>

 東大女子を締め出す東大男子学生は、「女性に対して優位に立ちたい」という思いから他大の女子学生を選んでいるだけであり、「東大女子への偏見はない」ということのようだ。その意見をさも普通のことのように話しているが、それこそ「東大女子」に限定しない女性全体への「差別」だろう。

 そしてその差別意識は、おそろしい悲劇を生む。

東大男子学生による他大女子への集団暴行事件
 東大男子学生による集団強制わいせつ事件を覚えているだろうか。2016年5月、東大男子学生と院生ら5人が、東京・豊島区のマンション一室で女子大学生Aさんの体を無理やり触るなどして、強制わいせつや暴行などの罪で逮捕された。彼らは『東大誕生日研究会』なるインカレサークルの仲間であった。

 事件当日、彼らはマンション内で酒を飲んでいたが、5人はわざとAさんの知らない問題を出し、答えられなかった罰として酒を無理やり飲ませる。

 酒に酔ったAさんは寝たふりをしたが、5人は衣服を剥ぎ取り全裸にしたうえ、隠部にドライヤーの熱風を当てる、肛門を箸でつつく、Aさんの上にまたがり接吻する、ラーメンを食べて熱い汁を胸元に落とすなどの残虐な行為を行った。

 学部生2名と院生1名が起訴されたが、その裁判では、他大学の女子学生たちは自分たちよりも「頭が悪い」から、モノのように扱っていいとの共通認識が垣間見えたという。

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公然とセクハラする男子学生
 筆者は女子大学出身だ。在学当時、東大、早稲田大学、慶應大学…といった有名大学の「自大学の女子がいないサークル」からの勧誘を受けたことがある。

 実際に早稲田大学のインカレサークルの新入生歓迎会に参加してみたこともあったが、そこでは男子学生から女子学生へのセクハラが公然と行われており、男子学生らが他大学の女子らを内心馬鹿にしている空気をひしひしと感じた。

 だからこそ、東大男子学生による集団強制わいせつ事件には「自分だったかもしれない」というリアリティと恐怖を覚えたのだ。

 もちろん、すべてのインカレサークルがそのような場所ではない。しかし、自大学の女子を排除し、自らよりも“格下”だとみなした他大学の女子をサークルに取り込む行為の根底に潜む女性蔑視は、どうにかしなければならないだろう。

最終更新:2020/01/31 20:00
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