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胎内記憶の第一人者と絵本作家のぶみが登壇! スピ系カンファレンスに潜入

2019/12/17 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 イエーイ、池川先生見てますか~? 先日、謎物件ウォッチャー仲間から、驚きのお知らせが届きました。日本における胎内記憶研究の第一人者・池川明産婦人科医のメルマガに、我々が登場しているというのです。

 当連載の過去記事を引用しながら、「南山さんの記事、結構楽しく読ませていただきました」「折角ノジルさん南山家に取材に来たのだったら歩いてすぐの所だから、立ち寄ってほしかったなあ」とお気にかけてくださり、うれし恥ずかしです。

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 メルマガより、わたくしめの胎内記憶記事を4本ご覧くださったと解釈しましたが、もう少したくさんありますのでよろしかったらぜひご覧くださいませ。うれしさで、鳩が小躍りします。

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 また、友人Hが有料メルマガを購読していることに対しての「ありがとうございます」なるご丁寧な感謝のお言葉。ウォッチャー勢までお心遣いいただき、たいへん恐れいります。

のぶみの如才なさ
 ご指摘の取材は、思い返せばもう昨年のこと。でもついこの間も、池川氏のすぐそばにいたんですよ。なんて言うとまるでストーカーのようですが、11月24日に池袋で行われた講演会「胎内記憶カンファレンス」へ参加させていただいたのです。

 サブタイトルは「胎内記憶から見つめる大人のあなたの生き方」。登壇するのは池川氏に加え、絵本作家「のぶみ」氏! これは見逃してはならぬ……とワクワクチケットを購入したのです。

 会場は、登壇者と観覧者の距離がたいへん近い会議室的な部屋。休憩時間、参加者からの声がけへフレンドリーに応じるおふたりの姿を見て、一瞬私も「わあ、池川先生&のぶみさんと、記念撮影していただきたいわぁ」なんて魔がさしましたが、某所の掟「バードウォチャーは、鳥に触れてはならぬ」を思い出し、声はかけず少し離れたところから眺めておりました。

 さてのぶみ氏をご存じない方(この連載の読者にはいなそうですけど)に向けてごく簡単に説明しておきますと、彼は絵本作家です。代表作は「親が死んだら困るだろ~? ありがたく感謝しろよ!」という内容で子どもを恐怖のどん底に突き落とす作品『ママがおばけになっちゃった』(講談社)。

 作詞にも手を出し、自己犠牲を強いる母親のワンオペ育児を賛美する『あたしおかあさんだから』も、親たちの怒りに火をつけました。育児に悩む母親をターゲットに、やっす~いお涙ちょうだい物語を量産する勢いは、まさに大陸級の情熱。ネットがボーボー燃え上がるのも、納得ぅ。

 池川氏は、本来の胎内記憶である「お腹の中にいたときの記憶」からどんどん我流の人生論に迷走しつづけ、最近ではお腹の外である「魂が別次元にいたときの話」へシフトチェンジ。

 虐待されることも親の魂を成長させるため子供自ら選んだという過激なお説を発信するため、12月初旬に立教大学ウエルネス研究所主催の公開シンポジウム「霊性(スピリチュアリティ)と現代社会」に登壇予定だったものの、批判の声が相次ぎ「講師のご都合により」登壇中止となったというニュースがありました。講演の依頼を取り消され、自称「魂参加」となったようです(池川氏不在でも、相当なトンデモ講演会だったようですが)。

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子どもに運をつけるには?
 そんなおふたりが語る「スピリチュアルをアカデミックに紐ほどく。自分らしく生きられる光の見つけ方」とは一体どのようなものなのか? ここで一部を吐き出させて……いえいえご報告させていただきます。

 ぶっちゃけ内容はさておきで、のぶみ氏の働きはえらかった。「校長先生の長いお話」を思い出させる前口上で、会の趣旨を熱く語る司会を「すごいしゃべるね!」とぶったぎり、「本当に今自分を生きるってこと! はい! それでいきましょう、ありがとうございます!」と、サクサク進行させるのですから。イベント慣れしていると言いますか、会場の都合とか参加者の要望とか「商業」がきっちり頭に入っていて、その点はたいへん大人のご対応です。

 御年65歳の池川氏は、数年前にヒーリングビジネスショー「癒しフェア」などで見かけたときと比べると、だいぶお疲れですか~? な印象。ウィスパーボイスで「魂は5次元にいて、4次元がすべて見える」「魂は過去のお母さんから未来のお母さんまで全部見たうえで、今のお母さんを選ぶ」と覇気なく語る姿は、勢いのあるキラスピ界が蜘蛛の子を散らす勢いで逃げていきそうな雰囲気です。

 そこへ声を張り上げて割って入り、「マイクを変えたほうがいいかな!」と気を配ったり、「このあいだ池川さんから聞いた運の話が、すごい面白いと思ったんですよ!」となんとか話を進めるのぶみ、クロストークではなくもう司会業でいいんじゃない?

 肝心の内容は……まあどこかで聞いたことのあるようなごくごく平凡なものでした。池川氏がある筋から聞いた「運をつける方法」とは、子どものころに運をつけてくれるたくさんの人にたくさん抱っこされて「育ってね」とか「かわいいね」と言われることなんだとか。しかし、そこでサラリと脅すのが、スピ商人のゲス商法。

池川「ところが抱っこさせないお母さんがいるんですよ。それは運がつかないんです」

 呪い、かけないでね★ ちなみにのぶみ氏は「誰かを喜ばせると運がつく」という解釈により、1日7時間でもひたすらサインをするそうです。感謝の気持ちや、子どもの笑顔のためでなく、「自分に運をつけるため!」と言い切っちゃうところは、のぶみ溢れますね!(「やばみ」と同じ活用法の言葉としてお読みください)

「大丈夫!」「感謝!」の大安売り
 ところで、これらのトークのどこが「スピリチュアルをアカデミックに紐ほどく」なのかしら? このうえなく雑談級の講演会だな! カンファレンスというより、気軽なトークライブという印象でありました。

 参加者からの質問コーナーも、ひたすらにカジュアル&ライト。「軍隊並みにスパルタな子育てなんですけど、大丈夫でしょうか」というお悩みに対し、「うん……まあいいんじゃないですか?」と答えつつ、自分もこんなシーンで怒るよ~という体験談を語るのぶみ氏。

 池川氏は「戸塚ヨットスクール好き派」とすごい発言から始め、「叱る言葉に愛が乗ってれば、愛を感じる。愛がなければ全然伝わらない」と説明。そうそう、戸塚ヨットスクールの校長も「心の中で進歩、進歩と唱えながら体罰すれば、力を自然と加減できる」なんて唱えてましたねえ~。

 お母さんたちがいろいろ悩むことについては、「そんなに考えなくても、普通にしてたら大丈夫」「何にも悩まなくていい」と言いますが、普通ってなんでしょね? のぶみ氏は「深刻にならないこと」とアドバイスしてましたけど、自分自身は炎上して叩かれては被害者丸出しモードで大騒ぎしてませんでしたっけ……? 

 「叩かれたときは慌ててなんかするとどんどんダメになるので、あわてないで何もしないで深刻にならない。おいしいもの食べてよく動いてよく眠ること」を心がけているそうですので、あの発信は同情=支持を集めるためのパフォーマンスだったのかしらん。

 最後は、池川氏が「今のままでいい」「変える必要まったくない」「空で決めたキャラそのままに」「人を裏切ったとか騙したとかあるかもしれないけど、全部OK」「皆役割があって存在している」「ただ、感謝はしたほうがいい」としめくくり。のぶみ氏は「大丈夫って言われると人は安心するから、子どもたちにも言ってあげてほしい」。要約するとだいたいそんな感じのお話でした。

 何でしょうね、巷でよくあるモテ女子トークのテンプレ「すごーい」「知らなかった~」「そうなんだ~」の亜種なんでしょうか。スピ商人たちの「大丈夫!」「感謝」「今のままのあなたで!」って。これさえ言っておけば、子育て中のママたちにモッテモテ!! みたいな。集客倍増!

 ついでにのぶみ氏単独コーナーは『絵本作家のぶみ先生講演「あなたの光を見つける、大人ののぶみ学」』だったはずですが、何冊かいつもの読み聞かせしてただけでは……? これで前売り6,000円って凄いな。当日券は7,000円。これは界隈で有名な先生方のお話を間近で聞けるよ! ということに対する価格設定なのでしょう。だったらせめて「胎内記憶ファンの集い」って書いてほしいわ。こんな雑な企画では、勢いづいている胎内記憶キッズすみれちゃんに離脱される日も近そう(もうされつつある?)。あ、では次回はすみれちゃん新刊レビューにいたしましょう。

最終更新:2019/12/17 20:00
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