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性的同意に否定的な松本人志『ワイドナショー』での発言

2019/12/09 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 俳優・新井浩文被告が派遣型マッサージ店の女性店員に性的暴行を加えた事件。新井被告は被害者女性も「合意していた」と無罪を主張していたが、東京地方裁判所は今月2日、被害女性は性的なサービスのないマッサージ店の従業員であり、新井被告が合意を誤診していたとは認められないとして、検察の求刑通り懲役5年の実刑判決を下した。新井被告側は即日控訴している。

 新井被告は性的サービスのない派遣マッサージのセラピストを自宅に呼び、性的サービスの要求を行わない旨の同意書に署名していたにもかかわらず、拒絶する女性を無理やり性交した。女性は被害直後に、送迎の運転手や店の経営者に被害を報告し、すぐに警察署で相談していた。

 この悪質な暴行事件を、「性的な駆け引きのミスだった」と捉えることができるだろうか。しかし8日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)では、松本人志が<こういう駆け引きしている時点でだめなんですよね。男としてやっちゃだめなんですよ>と発言し、番組では「性交渉の同意はわかりにくい」という話に終始していた。

 まさか本当に、「性暴力」と「セックス」の違いがわからないのだろうか? 『ワイドナショー』の当該部分を書き起こす。

松本人志「引き返したほうがいい言葉を決めといてほしい」
 ゲスト出演者の武田鉄矢は、新井浩文被告には同意を読み取る“読解力”がなかったと持論を述べた。

<性というものは、時と場合によって言葉がひっくり返る>
<彼にはその手の読解力がなかった>

 その後、松本人志が<こういう駆け引きしている時点でだめなんですよね。男としてやっちゃだめなんですよ>と言い、武田と松本は以下の会話を繰り広げた。

武田<(女性に)気持ち悪いと言われたら、(男性は)すぐに引き返した方がいい>
松本<もう引き返したほうがいい言葉を決めといてほしいですよね>

 しかし読解力も何も、派遣型マッサージ店は「性的なサービスはしません」と明示しており、そこのセラピストとしてマッサージをしに来ている女性に対して性行為の可能性を期待するほうがおかしい。そこは“駆け引き”の場ではないのだ。

 「性暴力」の話が、なぜか「セックスのつもりだった。イヤならイヤと言ってほしい」にすり替えられてしまう。被害者側は、性的な要求を拒絶すればもっとひどい目にあうかもしれないという恐怖から、抵抗できないケースも多くある。そうやって拒絶の意思を示さなければ、加害者側にとっては「ただのセックス」に過ぎないのだろう。また密室で押さえつけられたとき、「イヤ」「やめて」という言葉にどれほどの効力があるのだろうか。

 新井被告の被害女性も「恐怖で身動きが取れなかった」と証言している。なぜ、レイプ事件とセックスを同じ土俵で語ろうとしてしまうのだろうか。

性交渉の同意も出来ない?
 性暴力の話を取り上げると、松本人志はきまって“レイプ”と“セックス”をごちゃまぜにしてしまう。今年2月放送の『ワイドナショー』でもそんな一幕があった。

 番組では、元自民党の田畑毅衆議院議員が酩酊状態の女性に対して乱暴したとして準強制性交容疑に問われているニュースを扱っていた。

 スタジオでは、スウェーデンでは「交際中の2人であっても、明確な同意なしに性行為におよんだ場合はレイプになる」など他国の法整備を紹介するなど、性暴力被害・加害を無くすための議論が展開されたが、松本は<それはどうかな>と納得いかない様子で “ムード”がなくなると主張。

松本<やっぱり男女間のムードってあるじゃないですか。そんな明確に『いいよ』とか……、ねぇ? 『やろうね?』『いいよ!』『イェイ!』みたいな。これはすげえ冷めるし>
松本<女性って途中で『いやぁん』って言うときあるよ>

 やはり、性暴力をどのように未然に防ぐかという話をしているのに、それではセックスが成立しない、と返してくるのである。これでは建設的な議論などできっこない。松本人志にとってレイプとセックスは非常に近いものなのだろうか。

最終更新:2019/12/09 20:00
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