ドキュメンタリー教育映画『記憶』公開記念座談会

覚醒剤、万引、パパ活、整形――少年院の少女たちの事情【元レディース総長・中村すえこ×刑務所のアイドル・Paix2】

2019/09/07 19:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

少女たちのリアルは「重い」の一言

Manami

――Paix2(ペペ)のお2人は、映画を見て、どのように感じましたか? お2人は、2000年から国内の少年院や刑務所などで「Prisonコンサート」を開催されており、公演回数は9月7日現在で487回にも上っていますね。

Manami(北尾真奈美) 一言でいえば、作品は「重かった」ですね。少年院の子どもたちとは、コンサートの時しか接することがないので。

――「Prisonコンサート」では、子どもたちはとても楽しそうにしていますね。

Manami はい。みんないい顔をしているので、「(罪を犯して少年院にいても)法務教官の先生方に守られて、助けられているんだな」と思っていたんです。でも、この映画を見て、それだけではないんだなと気づきました。少年院について、私たちはまだまだ知らないこともあるし、先生も大変だなと思いました。

Megumi(井勝めぐみ) 本当に先生方は大変ですね。私もそう思いました。Manamiと同じで、公演を通じてしか知らなかった少年院の少女たちについて、いろいろ知ることができました。また、彼女たちがカメラの前で自分を表現できているのは素晴らしいとも思いました。私たち大人が「こういう人生もある」と知り、今後できることや問題点などを考えることができる作品です。いろんな葛藤があっても、少年院での経験は将来、報われるんじゃないかなあとも考えています。

中村 はい、むしろ少年院に行かずに矯正教育を受けなかった子たちのほうが心配です。逮捕されないまま悪いことを続けて大人になって、刑務所に行ったら、もう矯正は難しいですね。刑務官の指示に従っていればいい刑務所と違って、少年院は、とにかく先生たちが自分に向き合わせて考えさせますから、すごく厳しいんです。でも、それが結局は自分のためになります。私も少年院に行って多くのことを学びました。まあ最初から逮捕されるようなことをしてはダメなんですけれども(笑)。

Manami なるほど。ある少年院のコンサートで、入ったばかりの女の子と出会って、たまたま1年後に同じ施設で再会したことがありました。1年間で表情がまったく違いましたね。出院が間近で、生き生きとしていました。先生方がきちんと向き合ってくれたからでしょうが、出院してから自分を保っていくのは大変だろうなと、かわいそうに思ったことがあります。

中村 たしかに出院後のほうが心配ですね。出てからの「居場所」、つまり住むところと働く場所の問題はとても大きいです。そもそも少年院に行くような子たちは家庭も崩壊しているし、まず帰るところがありません。映画には、せっかくの居場所からいなくなってしまう子が登場します。詳しくは映画を見ていただいて(笑)。

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