コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験界「大学付属校」人気の落とし穴――「こんなはずではなかった」親たちの強い後悔

2019/09/08 16:00
鳥居りんこ

 広樹君(仮名)の母・貴代さん(仮名)も、この現実に焦った1人だ。

「中学受験をして私立に入学したとして、確かに高校受験はありませんが、高2から大学受験に向けた勉強がスタートするというのは既定路線。であれば、6年一貫教育と言ったって、伸び伸びしていられる時期は少ない。それならば、最初から大学付属狙いの方が広樹のためになるのでは? と思ったんです」

 こうして、貴代さんは、広樹君の受験校を第5志望まで全て大学付属校で埋めたという。そして広樹君は、第5志望校であるN大学付属に合格を決めた。インフルエンザに罹患してしまったため、本来の実力が発揮できなかったそうだ。

 塾の先生はこの結果をとても悔しがり、「広樹はW大系列に入れる実力だから、N大付属には行かず、公立中に進み、高校受験でリベンジしてはどうか?」とアドバイスしたそうだ。

 しかし、貴代さんの強い勧めで、広樹君はN大学付属に入学。本人も最初はリベンジを固く誓っていたそうだが、現在高1の彼は、貴代さんからすると「見る影もない」ほど勉強しないという。

「広樹の学年が特にそうなのかもしれませんが、ほとんどの子が『無理はしない』思考なんですよ。つまり、無理してまで他大を受けないってことですね。浪人にでもなったら、目も当てられないですから……。広樹は『このまま、ぬるま湯に浸って、入れるところに入れればいい』と思っている節があるんです。でも、N大に入るのも、学内基準があるので、意外と難しいんですよね~。塾の先生の言うことを聞いておくべきでした……」

 たいていの大学付属校は、成績順に学部を選べるシステムなので、必ず志望が叶うという保証はない。そもそも、自分の行きたい学部が「その大学にはない」というケースも大いにある。子どもが、「入りたい学部」ではなく、「入れる学部」に自分を合わせるという現実もなきにしもあらずなのだ。

 「大学付属校に入れば安心」という親の「保険」がどこまで通用するかは、実際に子どもが高3になるまで、誰にもわからないというのが実情だろう。

アクセスランキング

今週のTLコミックベスト5

  1. 塩対応な私の旦那様はハイスペックな幼馴染!?~トロトロに甘やかされて開発される体~
  2. 交際ゼロ日で嫁いだ先は年収5千万円のスパダリ農家~20歳、処女を弄ぶ優しい指先~
  3. お花屋さんは元ヤクザ~閉店後の店内で甘く蕩ける~
  4. 体育会系幼馴染は世界一の溺愛男子~全人類の好感度がある日見えたリケジョの私~
  5. 淫魔上司は不器用な溺愛男子~インキュバスが魅せる激甘淫夢は人外の快感~
提供:ラブチュコラ
オススメ記事
サイゾーウーマンとは
会社概要
個人情報保護方針
採用情報
月別記事一覧
著者一覧
記事・広告へのお問い合わせ
プレスリリース掲載について
株式会社サイゾー運営サイト