コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

「偏差値30台の私立中」を受験する意味――「お金の無駄」「勉強できない」偏見の先にあるもの

2018/07/15 17:00

 入学後の誠也君の“成績”を振り返って、恵子さんは苦笑しながら、こう教えてくれた。

「当然、余裕でぶっちぎりのトップにいるだろうと思ったら、甘かったんです(笑)。上には上がいて、やはりどんな学校であっても、トップの子たちはすごいなって!」

 それから年月が経過し、現在、誠也君は“難関”とされる大学に通っている。偏差値30台の中高に入って勉強を怠けたということはなかったようだ。

 恵子さんが息子の中高時代を懐かしむような眼差しで言った言葉が、筆者の胸に強く印象に残っている。

「誠也は、部活に勉強にと、中高を本当に目一杯楽しんでいました。一生の友達になるんだろうなっていう仲間との交友であるとか、本当に親身になってくださった先生方との信頼関係であるとか、目に見えないものをたくさんいただけたように思える、充実した6年間でした。やはり、この学校で間違っていなかったって心から思います」

 世の中には、数字という指標を超えた“進路”というものがあるように思う。中高一貫校の意義は、親から離れて、巣立ちをするまでの間、徐々にその子がその子らしさを発揮し、自己を肯定しながら、社会に出られる素地を作ることにほかならない。

 そう鑑みると、中学受験は“親離れ”“子離れ”のための助走であるとも言える。それゆえ、中学受験における一番、大切なことは“本人の意志”であり、その“意志”を親が尊重し、応援していくことが、次の良いステップにつながると、筆者は確信する次第だ。
(鳥居りんこ)

最終更新:2019/04/10 16:24
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