年齢を隠す、ごまかすという「作法」が招く年齢差別

 新年度からNHKの『テレビでハングル講座』を見ることにした。NHKの語学番組は本当によくできているし、なによりも無料なので、たいへんありがたい。

 番組には、進行役のシン・ウィスと講師の女性、生徒役の大貫亜美(PUFFY)が出演する。

 大貫亜美は小学生の頃、父親の転勤にともない2年半ソウルで暮らしていたという。ハングルに少しだけ素養があるという点が、生徒役としてちょうどいいのだろう。

 初回放送(4月4日)でそのあたりを説明するくだりがあった。

シン「(韓国にいたのが)小学生のときっていうのは、まあ、5年くらい前?」
大貫「えっと、7年くらい前かな」
講師もふくめ三人で和気藹々。

  大貫亜美はプロフィールなどでも年齢を隠していない。「作法」に則った台本を読まされただけなのだろう。番組では中盤もう一度同様のやりとりがあり、ちょっとしつこかった。今後はいかに。

 言うまでもなく、こうした作法は女性の年齢が言及される際に多く見られる。これが年齢についての男女の二重基準である。

 私は20代の終わり頃、1、2歳年下の同僚男性から「オバサン」と呼ばれ、「は?」と反応したところ、「女の年は(男の)10歳増しだからね」と返され、まだそんなことを言う人がいるのかと驚いたことがある。

 そして、こういう人に「どうぞ」と手渡せる本があればいいなと思い、しばらくしてから『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(集英社新書)という本を書いた。一見わかりづらいタイトルだが、「(揶揄的な)オバサン」という言葉を使うと嫌われますよ、という意味である。

 同書では、女性の年齢と男性の年齢に対する世間の考え方の違い、つまり年齢についての二重基準の実態を指摘し、なぜ二重基準が生じたのかについて考えた。また、「オジサン」よりもはるかに多義的な「オバサン」という言葉の意味、そして中高年女性に対する社会の視線などに言及した。女性の年齢を揶揄する男性に対しては「それは恥ずかしいことなんですよ」と、年齢を意識しすぎている女性に対しては「年齢は隠さない方がいいですよ」と伝えたかったのだ。

 もちろん、年齢についての二重基準は、時代とともに解消されてきてはいる。一例を挙げれば、1970年代まで多くの企業や団体に存在した「女子若年定年制」や、その後も2000年頃までは存在した「男女別定年制」も、今はなくなった。

 ちなみに「女子若年定年制」とは、おもに放送局のアナウンサーや観光関係の職種、つまり「女性の美貌」が重視された職種に見られた定年制度で、30歳を「定年」としているところが多かった。「男女別定年制」は「女子若年定年制」ほど顕著ではないが、女性の方が男性よりも10年から5年ほど早く退職しなければならないという制度である。

 現在、制度としての年齢差別は解消されつつあるが、社会の風潮としての二重基準はまだ残っている。これがある限り、女性たちはつねに男性以上に年齢を意識させられながら生きることになる。こうした風潮を解消するために、女性たち自身にできることは何かといえば、それは「年を隠さない」ということである。年を隠したりごまかしたりすることは、「女性の弱みは年齢である」という考え方に迎合することになり、二重基準を強化することになる。

  そもそも日本で暮らしていて年齢を隠し続けるということは、不可能である。不可能に挑み続けるということは、多大なストレスを生む。年をとることは恥ずかしいことでもなければ、いけないことでもないという当たり前のことを踏まえ、余計なストレスを抱えずに生きていくほうが賢明である。

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