[連載]海外ドラマの向こうガワ

史上最もスキャンダラスなローマ教皇? 田舎貴族の上昇志向を描いた『ボルジア家』

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『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族 ファースト・シーズン』(パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン)

――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディテールから文化論をひきずり出す!

 今年2月、ベネディクト16世がローマ教皇を退位し、翌月にはアルゼンチン出身のフランシスコが新ローマ教皇に選出された。ローマ教皇の生前退位は珍しく、日本でも大きく報じられたが、アメリカでは日本とは比較にならぬほど連日のように特集を組み、熱心に報道していた。

 アメリカ人が、新ローマ教皇誕生に強い関心を寄せた理由はいくつかある。ローマ教皇はカトリック教会の高位聖職者であり、アメリカにはそのカトリック信者が多くいる。近年信者数が増えている「中絶、同性愛は大罪」とする福音派たちも、カトリックと共通の教義を持つため、ローマ教皇には親しみを感じている。アメリカのキリスト教人口の大半を占めるプロテスタントの信者たちは、同性愛や中絶、離婚を否定するくせに男児に対する性的虐待を行い、バチカンのマネーロンダリング疑惑を掛けられて、「存続の危機に面している」とまで伝えられているカトリック教会の現状に興味津々。そして、なによりも今回のコンクラーヴェ(枢機卿らによる新教皇選出会議)で初の黒人ローマ教皇が誕生する可能性が高まったことに、全米が並々ならぬ関心を抱いたのだ。

 ローマ教皇は、その2,000年余りの長い歴史を白人優勢を保ちながら送ってきた。もし、黒人がローマ教皇として選ばれたら、オバマ氏が黒人初のアメリカ大統領になったこととは比にならぬほど、大きな衝撃を与えることになる。世界に12億人いるとされるカトリック教徒は一体どうなるのだろうと、多くのアメリカ人が興味を持ったのである。

 このようにアメリカ人が興味を抱くローマ教皇を題材とした大河ドラマが、2011年4月にスタートした。15世紀に実在した“史上最もスキャンダラスなローマ教皇”こと、アレクサンデル6世・ロドリーゴ・ボルジアと、その一族の愛憎を赤裸々に描いた『ボルジア家 愛と欲望の教皇一族』である。

■欲にまみれたサクセスストーリー

 物語の舞台は15世紀のイタリア。この頃の教皇は王族よりもはるかに強い力を持ち、神の次とされる絶対的な権力を持つ存在だった。権力好きなロドリーゴは、買収でコンクラーヴェを制して新ローマ教皇の座に就き、阻む者は殺人や金、性的な誘惑など卑劣な手を使って処理し、権力と富を拡大していった。無類の女好きなロドリーゴには愛人が多く、そんな彼が家長だからか、身内は不倫、近親相姦、同性愛などメチャクチャ。スキャンダルにまみれたドロドロした物語が展開していく。

 同作は、ドラマ好きなアメリカ人が求める「富・権力・愛欲・憎悪」の要素がすべて入っており、昼の時間には放送できないようなエグい描写も。ドラマの中では、カトリック教会の聖職者による男児への性的虐待事件が後を絶たないため、「今のバチカンと変わらないのでは」と思わず想像してしまうほどリアルで、視聴者の期待を超える作品に仕上がっている。

ドロドロまみれなんてたまんないねっ

しぃちゃん

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