[連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と

君島十和子の美への情熱を尊敬しつつ、究極の”ブスめし”に溺れる快楽

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 うちの夫・36歳が最近「嵐の櫻井クンが、いい!!」とか言っている。夫曰く「顔も良けりゃ、頭もいいし家柄もいい」とのことである。なんでも櫻井クンは幼稚舎から慶応に通っていて、両親も官僚とか大学の先生とか、なんかそういう風らしい。それで顔も良くて、今や国民的アイドル。「そういう人っているんだねぇ〜」なんて、夫はしきりに感心している。 「櫻井クンは体重が55キロらしいんだよね~!!」と、新しい櫻井ネタを得意げに披露していた。妻も知らないジャニーズ知識……一体どこから仕入れた情報か知らないが、どうやら己も櫻井クンと同じ体重になりたい、とか目論み出したようである。今さら何を言い出すんだろうと思ったが、しかし。私としては、櫻井クンで良かった、と思っている。

 これが「向井理を目指してる」とかになると、少々タチが悪いような気がする。「ケンタロウみたいになりたい」とかいうのも、どうだろう。料理上手を目指すのはいいが、四六時中、家の中でも帽子をとらない男は困る。そんなわけで、今さら顔は櫻井クンにはなれないが(別にならなくてもいい)、しかし体重くらいは櫻井クンと一緒になれるよう、夫には頑張って欲しいと思う私であった。

 てなわけで。

 君島十和子である。なんだかんだ言って私は十和子の出す本を、いつも、いちいちチェックしてしまう。最近も「食べるコスメ」(小学館)なんて本を出していた。内容は、十和子がいつも食べてるらしい美容にもよくて、おいしいレシピ、他には、十和子の太らないための日常生活で実践してるあれこれ、そして十和子の1週間の食事日記、娘たちのお弁当スナップなどなど。

「なるほどな~十和子、いつもこんなもん食ってんのか~」
「すげぇな~、毎朝5時起きして弁当作ってんだ」
「てゆうか、十和子、けっこう料理やってんのか~」
「いやぁ~、外食していっぱい食った後は、次の食事まで14時間あけて胃袋をリセットすればいいわけね~」

 ……そこまで真剣に読むんなら立ち読みしないで買えよってかんじだが、まぁとにかく。私はナニゲにちょっと、十和子を尊敬してたりするのであった。以前私は十和子ブランドの化粧品を使ってたことがあるのだが、これがまた凄かった。「十和子渾身の、十和子のこだわりを全て集結させたUVクリーム」、「十和子渾身の、あなたも十和子顔になれるマスカラ」(常に品切れ)、そして「十和子渾身のフェイスクリーム、その名もザ・トワコイズム」。全てにおいて「渾身!!」感が伝わってくる十和子のコスメブランド、「フェリーチェトワコ」。お値段が安くはないので今は使ってないのだが、なんて言うか、ハマると抜け出せなくなるものがあり、一時期私は、顔だけトワコな時があったのであった。

 そんな十和子の本を立ち読みしたにもかかわらず。先日、どうにもこうにも「鳥やすの唐揚げ定食が食いたい!!」という風になってしまい、夫を誘って近所の鳥やすに直行。昼は定食屋だが夜は焼き鳥居酒屋、そんな鳥やすで定食を食べる客は8割以上が「男」である。そして、目的の唐揚げ定食はメシの量も多けりゃ、油もゲテゲテ……相当な「ブスめし」なのだが、何故かどうしても、突発的にコレが食いたくなる時があるのである。味の濃い、ゲテゲテ、ギトギトな唐揚げに七味唐辛子をぶっかけて、脇に添えられたマヨネーズをベットリつけてパクリ……って、まさに「ブス一直線」。

 「最近私、ケミカルなコスメよりも、オーガニックなものを選んで使うようになったんだよね~」なんて、友人に語ってた私だが、こんなもん食っててオーガニックもへったくれもないだろう。まったく、どのツラさげて、そんなことが言えたもんだか。そして夫はといえば、「櫻井クン」とか言っておきながら「ジャンボチキンカツカレー」なんて食っている。このチキンカツがまた、笑っちゃうくらいデカいのである。まるで草履とかワラジ。それにソースをジャブジャブかけて食っている。「櫻井クンは一体どーしたんだよ」とツッコミを入れたくなったが、「じゃあオマエこそ、さっきの十和子の立ち読みは!?」と言われても困るので、仕方なく「熊田曜子が小説を出したみたいだけど、あれは一体誰が買うのか?」という話題でその場をやりすごした。(熊田曜子の行く末を案じながらジャンボチキンカツだの、ギトギトの唐揚げ定食を食べるのは、シチュエーション的にハマりすぎな気がする)

 そんなわけで、結局、夫婦って「似てくる」もんなんだろうか? 似たようなもん食ってりゃ似てくる、とはよく言うけど、我々夫婦は一体どこを目指してるんだか……熊田曜子の行く末を心配する前に、自分たちの心配しろよ、と、私は思うのであった。

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