皮肉なものだね……

チャールズ国王の戴冠式に見る、ウィリアム皇太子とヘンリー王子兄弟の“格の違い”

2023/05/09 22:30
堀川樹里(ライター)
(Getty Imagesより)

 現地時間5月6日に執り行われたチャールズ国王の戴冠式。当日のウィリアム皇太子とヘンリー王子の様子が、あまりにも対照的だったとネット上で話題になっている。堂々とした風格と威厳を漂わせていたウィリム皇太子に対して、ヘンリー王子は品格だけでなく王族のオーラも消えてしまったと感じる人が多く、兄弟だが住む世界は完全に違うということを全世界に見せつけた形になった。

 今回の国王の戴冠式は、1953年に行われたエリザベス女王の戴冠式の時と比べ、規模を大幅に縮小。ゴスペル聖歌隊がハレルヤを歌唱したり、賛美歌合唱隊にシーク教徒の男性がいるなど、“多様性”をちりばめた現代的な式典となった一方、儀式の内容は数百年にわたり継承されてきた歴史あるもので、戴冠式はこの上なく荘厳な催しとなった。

 王位継承順位1位のウィリアム皇太子は、ウェールズ近衛連隊の儀礼服の上に正装のローブとマントを羽織ったりりしい姿で出席。品格と威厳を漂わせながらゆっくりと寺院内を歩み、参列者からは敬意を込めた視線が送られることに。

 そんな皇太子にはこの戴冠式で、国王にロイヤル・ストールとロイヤル・ローブを羽織らせたあと、聖エドワードの冠をかぶった国王の前にひざまずいて忠誠を誓うという重要な役目を与えられ、立派にこなした。

 国王にローブを羽織らせる際には顔を近づけて小声で言葉をかけ、国王の顔をほころばせる場面も。また、ひざまずき、国王に両手を包まれながら「私、ウィリアム、プリンス・オブ・ウェールズは、最も信頼される者として、私の忠誠、私の信仰、私の真実をあなたに誓います。神よ、我を助けたまえ」と誓いの言葉を述べた後、皇太子は王冠に触れ、国王の頬に忠誠を誓うキスをし、直後に国王の目が潤んだことが、ネット上で大きな話題に。

 国王は感極まった表情で皇太子の目を見て「サンキュー、ウィリアム」と声をかけ、Twitter上では「親子の強い絆を感じる」「息子に祝福され、本当にうれしいのだろう」「立派な継承者が目の前にいることを、誇りに思っているのでは」と感動する声が続出。欧米メディアも、戴冠式で最も感動的だったシーンとして、この一連の様子を報じた。

 このようにウィリアム皇太子は戴冠式で大きな存在感を放っていたものの、国王のもう一人の息子で、今年1月に発売した自伝本で“スペア”として生まれ育ったことに不満をあらわにしたヘンリー王子は、戴冠式では公的な役目は与えられなかった。

 国王の強い望みにより戴冠式に出席したヘンリー王子だったが、英国ではなくフランスの高級ファッションブランド「クリスチャン・ディオール」のスリーピース燕尾服姿でウェストミンスター寺院に現れ、ネット上では「王子なのにイギリスのブランド服じゃないの?!」「メーガン夫人のチョイスだよね」「契約でも結んだんじゃないの」と意地悪な声が飛び交うことに。

 ヘンリー王子は同じタイミングで到着したアンドリュー王子、ベアトリス王女と夫のエドアルド・マッペリ・モッツイ、ユージェニー王女と夫のジャック・ブルックスバンクら、公務をしていない王族メンバーたちと共に行動。

 エドアルドやジャック、ユージェニー王女らと会話を交わしながら寺院に入った王子は、参列者を出迎えるカンターベリー大主教に笑顔で声をかけ、誰とも並ばず、一人で寺院内を進んだ。時折着席している参列者を見て会釈していたが、目をそらしたり冷たい視線を浴びせる人が多く、王子の表情はどんどん硬くなっていったとか。

 事前の報道では「王室メンバーたちの10列後ろの席に座るようだ」と伝えられていたヘンリー王子だが、実際にはアンドリュー王子、ベアトリス王女夫妻、ユージェニー王女夫妻らと同じ前から3列目に着席。隣に座ったジャックと熱心に雑談している姿がマスコミにキャッチされ、英メディアは唇の動きから「3時45分頃……」「明日に」と言っているようだと推測。戴冠式が終わったらすぐにアメリカへ帰ることを話しているとみられ、Twitter上では「早く帰りたくて仕方ないのだろう」と批判されていた。

 なお、ヘンリー王子の前にはアン王女が座ったのだが、王子は笑顔でアン王女を迎えて言葉をかけており、英メディアは、唇の動きから王子が「気にしませんよ」「どうぞ前に座ってください」と言っているようだと伝えた。アン王女も笑顔を返していたが、会話が弾むということはなく、その後、王子は下を向いたりソワソワと落ち着かない様子だった。

 アン王女は戴冠式に軍服姿で参列し、頭には連隊長の大きな赤い羽根をつけた帽子をかぶっていた。この羽根があまりにも大きいため、式の最中、後方に座っていたヘンリー王子の顔が隠れることが頻繁にあり、ネット上では「女王の葬儀の時にキャンドルでメーガン夫人の顔が隠れてしまったことを思い出す」「わざとカメラに映らないようにしてるよね」「前を歩く国王からも、王子の顔は見えないよね」と話題に。

 また、王子がジャックやアン王女に愛想よく振る舞っていることに違和感を覚える人が多く、「ニヤニヤしすぎ」「ハイになってるように見える」「無理しているよね」「居心地はすごく悪そう」「落ち着きがなくて子どもみたい」「ルイ王子のほうがちゃんとしている」などと皮肉が寄せられている。

 さらに、ヘンリー王子は式の最中、斜め前の最前列に座るウィリアム皇太子をにらみつけるような姿もキャッチされている。その様子を見て「悲しい」と感じた王室ファンは少なくなく、ネット上では「『別世界から来たメーガンが自分を救ってくれた』とか言ってたけど、元の世界に戻りたいという気持ちもあるんだろうね」「こんなことになってしまったと後悔しているようにも見える」と嘆く声が聞こえた。

 式中、チャールズ国王とヘンリー王子が視線を合わせることはなく、ウィリアム皇太子やキャサリン妃らとも目線を合わせたり会話をすることもなかったとか。公務を続けている王族シニアメンバーたちと同じ場所にいると王子が浮いて見えると感じた人が多かったようで、王室を離脱して数年たち、王族批判ばかりしているうちにオーラが消えてしまったと感じるといった書き込みも多かった。

 そんなヘンリー王子だが、戴冠式後は足早に車に乗り、ロンドン警視庁にエスコートされてヒースロー空港に直行。モーニング姿で戴冠式のパンフレットを手にほっとした表情で空港を歩く姿がパパラッチされ、「戴冠式に参列するためロンドンに滞在したのは、わずか28時間42分だった」「昼食会に招かれていたのに。和解とまではいわなくても、家族と話ができるまたとない機会だったのに残念」だと複数の英メディアが伝えている。

 ちなみに今回、ヘンリー王子はアメリカン航空でロンドン入りし、帰国便は英国航空を利用したとのこと。ネット上では「こうやって庶民化されていくんだね」と意地悪な声も上がっている。

堀川樹里(ライター)

堀川樹里(ライター)

6歳で『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』にハマった筋金入りの海外ドラマ・ジャンキー。現在、フリーランスライターとして海外ドラマを中心に海外エンターテイメントに関する記事を公式サイトや雑誌等で執筆、翻訳。海外在住歴25年以上。

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最終更新:2024/02/13 11:04
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