コラム
高橋ユキ【悪女の履歴書】

素手で病巣の臓物をグチャ……「心霊手術」で数億円稼いだ、“神さま”と呼ばれた女【豚の血・心霊手術詐欺事件】

2022/07/24 18:00
高橋ユキ(傍聴人・フリーライター)

 志摩子は三重県某市の自宅に「日本心霊学会」という看板を掲げ、口コミで治療を受けに来る患者たちに「このままではガンになる」「半年もしないうちに植物人間になる」などと言って不安にさせ、心霊手術を施していたという。

「1回の料金は3万円で、だいたい1人あたり30回から50回くらいは“手術”していたそうです。ガンや不治の病で、ワラをもつかみたいという患者の弱みにつけこんだ卑劣な犯罪」(警察)

 逮捕のきっかけとなったのは、名古屋市内の当時61歳会社役員。約150万円を騙しとられているというから、50回ほど、心霊手術を施してもらったのだろう。この役員は病院では「直腸ガンは完治した」と診断されていたが、志摩子から「このままでは再びガンになる」と脅され、彼女のもとに通っていた。

 そんな夫を見るに見かねて、同年3月、妻が警察に相談に訪れたのだった。

「ただ、被害者に被害を受けたという認識がないので、苦労しましたね。日笠にまんまと騙されていたんです」(同)

 被害者は全国で約300人にのぼり、被害総額は数千万とも億単位ともいわれる。さらに札幌の“患者”からは600万円のベンツまでプレゼントされていた。

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