カルチャー
結婚おめでとうございます!

滝沢カレンの文章は、なぜ読む人の心に響く? プロの校正者が「文章センスはずば抜けている」と評価

2022/07/12 16:35
校正・校閲者A氏

 ここからは、さらに一歩踏み込んで、滝沢さんの過去の発言を引きつつ、文章を吟味していきたいと思います。

「それは私の見ている景色をいつもより色とりどりにしてくれる人でした。」

 ここをわかりやすく直すと、「彼は、普段見るありふれた景色までも色とりどりに変えてくれる、そんな存在です。」になります。注目したいのは、「色とりどり」の部分。後には、「そんな人に私は人生の冒険相手として 道を彩ってもらいたいなと思いました。」と続きます。

 滝沢さんは18年3月放送の『しゃべくり007』(日本テレビ系)に出演した際、「本を読んでいてカタカナが出てくると、色のなくなった世界を見ているよう」と語っています。 カタカナは「ずっとつまらないなって」などと思っていたそうで、自分の名前(芸名)についても「カレンは(色が)ないです」と断言しています。

 「つまらない」と言っていますが、「色のなくなった世界」に不安めいたものを感じているような気がします。過ぎ去った記憶も「色のなくなった世界」に見えるから、忘れ去ろうとしているのかもしれません。

 そんな過去も、普段見る景色も、色とりどりに彩ってくれる存在だからこそ、未来へと続く道も彩ってくれるはず、と期待する様子がうかがえます。結婚相手としての決め手をこのように表現するのは、さすが滝沢さん。読むほうまで幸せな気分になりました。

 ところで、滝沢さんの「カタカナ」への苦手意識は、この報告文にも表れていました。全文に登場するカタカナは、高校時代からの“相棒わんこ”の名前とその種類、また結婚相手の飼っている犬の名前とその種類、それと「(結婚相手の飼い犬は)名前を呼ぶとご飯を食べていたってやってきてくれる海みたいに強くてフワッと近くにいてくれます。」という一文の「フワッ」だけです。色とりどりにしてくれるお相手との結婚報告ですから、極力色のなくなった世界を遠ざけたかったのかもしれません。

 とはいえ、カタカナがつまらないままで良いのか、という気もします。そこで、「人生の冒険相手」という箇所は、「人生を共に冒険するパートナー」にしてみてもいいのではないかと思いました。「パートナー」というカタカナ語は、「相手」とするよりも関係性の距離感が近いニュアンスを与えてくれます。

 しかし、やはり「相手」のまま、もしくは「冒険の相方」が彼女らしいですね。カタカナに関する過去の発言を踏まえると、今回の彩りを意識した報告文は、支離滅裂なようで一貫性があり、それも滝沢さんの文章の魅力といえそうです。

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