『二月の勝者』レビュー

偏差値37の娘がカンニング行為! 受験目前、母親に追い詰められた子どもの「意思」『二月の勝者』第9話

2021/12/18 18:30
桜田モモ (ライター)
写真ACより

 中学受験をリアルに描く連続ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』(日本テレビ系、土曜午後10時~)。舞台は、スーパー塾講師・黒木蔵人(柳楽優弥)が校長を務める中堅中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」。

 12月4日放送の第8話では、成績トップの島津順(羽山仁成)と母親が、教育虐待やモラハラを繰り返す父親と完全別居。順は経済的事情から受験を断念しようとするが、黒木から奨学金制度の話を聞き、改めてチャレンジを決意した。

あらすじ

 12月11月放送の第9話では、受験まで残り3カ月となった生徒たちの志望校決定の模様が描かれた。

 たとえば、第5話でクローズアップされた上杉海斗(伊藤駿太)は、御三家で難関校の「開成」を受験したいと母に直訴。海斗には、大手名門塾「ルトワック」の最上位クラスにいる双子の弟・陸斗(同・一人二役)がいる。

 海斗の母は、「最上位校目指すっていうのは勉強に向いている子がすることよ。海斗は運動神経がいいんだからスポーツが向いていると思うの。人にはね、向き不向きっていうのがあるの。お母さん、向いていないことで苦労させたくないの。わかるでしょ?」と、やんわり息子を諭した。

 そんな母に、海斗は「決めつけてほしくない」と訴える。

「どうしてママはいつもそうやって、僕たちの向いてるとか向いていないとかを決めつけるの?」

「いつになったら自分でやりたいことを自分で決められるの?

「僕はただ、最初からできないって決めつけてほしくなかっただけなんだ」

 そもそも「向き・不向き」というのは、割とデリケートな話題だ。子どもにしてみれば、よりにもよって自分の「やりたいこと」を、「あなたには向いていない」と言われるなど、意欲を削がれるどころか、自分を否定されたも同然の事態だろう。

 一方で、親が我が子の「幸せ」を思い、苦労するところを見たくないと願った結果、「向き・不向き」をあれこれ思案することも、ときに無神経な言動をしてしまうことも、ままあることだと思う。そして、親の判断と子どもの希望は必ずしも一致しない。幸い、海斗は自分の気持ちをしっかり言葉にして母に伝えることができ、母も海斗の開成受験を認めた。

偏差値37の成績に見合わない志望校

 一方で、志望校選定の時期が来てもなお、子どもに向き合えない親もいる。成績下位のRクラスに在籍する偏差値37の今川理衣沙(渡邉心結)は、母が熱望する「吉祥寺女子」をはじめ、志望校は本人の成績に見合わない学校ばかり。

 知名度重視の理衣沙の母は、Rクラス担任の佐倉麻衣(井上真央)が安全校の併願を勧めても、理衣沙が「吉祥寺女子」の過去問で合格者平均点を出したと言い、聞く耳を持たない。が、答案を見る限りカンニングは明らかだった。

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