“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験のせいで離婚危機! 「程度の低い大学出」の妻に任せたのが間違いだった!?

2021/09/26 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

写真ACより

 中学受験は夫婦の今後を占うリトマス試験紙――これは中学受験の取材歴20年の私の実感だ。

 夫婦道(めおとみち)は山あり谷ありで、歩きやすい道ばかりではないのであるが、夫婦関係は「夫婦の歴史的一大事」の時に2人の心がひとつになっていたか否かによって大きく変わっていく。「夫婦の歴史的一大事」というのは、2人でともに乗り越えるべき人生の難所、峠のことだ。

 例えば、妻の妊娠出産。これはまさに一大事だ。そして、「中学受験」もある意味、子ども本人だけでなく夫婦にとっても人生の「一大事」に当たる。「たかが中学受験」なのであるが、当事者にとっては「されど中学受験」という、子どもの「将来」を賭けた「勝負」になる。つまり、本来ならば、家族が一致団結して、全員で同じ目標に向かうことが望ましい類のものである。

 ところが、夫婦もいろいろなので、受験に一枚岩とならないケースもまた多い。

 留美子さん(仮名)と茂さん(仮名)には、一人息子の豊くん(仮名)がいる。留美子さんは中学から、ある女子校に入学し、附属高校を経て、そのまま併設大学に進学したエスカレーター組である。一方で茂さんは地方出身のため、地元公立高校から東京の国立大学に入り、その大学院を卒業している。

 豊くんの教育方針については、夫婦で改まっての話し合いをしたことはなかったそうだ。茂さんは「子育ては母親に任すのが一番」という信条だったらしく、家のことは何一つしない人(留美子さん談)という。

 そんな中、豊くんが小学校でいじめに遭うという事件が起きた。豊くんはとてもおっとりしていて優しい性格のせいか、強いタイプの女の子グループから嫌がらせをされることが頻繁に起こったのだという。

「当時、小学5年生でした。『学校に行きたくない』と泣くので、理由を聞いたら、まさかの女の子たちからのいじめだということがわかり、びっくりしました。主人は『女にやられるなんて情けない(怒)!』の一言で、相談にもなりませんでしたが、どこから聞いてきたのか、豊が『僕は(女の子がいない)男子校に行きたい!』って言い出したんです。それで、慌てて中学受験塾に入ったというわけです」

 結果、遅いスタートである5年生の夏からというハンデを克服し、豊くんは見事、難関と呼ばれる私立B中学に入学。楽しい生活を送れるはずだったという。

中学受験進学レーダー2021年10月号 併願2022
「子どものため」の中学受験だったはずなのに
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