コラム
「元極妻」芳子姐さんのつぶやき109

元極妻が見た映画『すばらしき世界』――「出所したヤクザのつらさ」がわかります、カタギの皆様に見てほしい

2021/07/04 16:00
待田芳子(作家)

 役所さんがバスに乗ると、2人の刑務官が雪の中をバスが見えなくなるまで見送ってくれますが、あとは独りぼっち。でも、上野駅に着くと、橋爪功さん演じる弁護士さんが迎えに来てくれていて、おうちですき焼きをごちそうしてくれます。この奥様が梶芽衣子さんなのにはびっくりしました。『女囚さそり』シリーズのイメージしかなかったので(苦笑)。

 そして、役所さんは『孤狼の血』(白石和彌監督、2018年)では広島弁(呉弁?)で「そうじゃのー」とかニコニコしてたのに、今回は博多弁を操っておられました。さすがです。

 久々のシャバでいろんなことに驚き、戸惑う役所さんはチャーミングですらあり、萌えましたね。ていうか、役所さんがイケメンだからアリなのであって、「極悪人顔」だったら成り立たない設定です。

 あと細かいことを言っちゃうと、出所の少し前に職員と外出して買い物をしたり、駅で切符を買ったりして社会復帰の練習をする「釈放前指導」(釈前教育ともいいます)が行われるので、映画のようにおどおどすることはないと思いますよ。

 ただ釈前指導は1994年に基準が統一されていて、それまでは施設によってマチマチだったので、作品のモデルになった山川一こと田村明義さん(1986年2月出所)は指導を受けていなかった可能性が高いです。そして、この田村さんが亡くなられた時は、佐木さんが喪主までされてるんですね。

 西川監督によると、『身分帳』が刊行された頃、田村さんは話題の人で、ラジオ番組にも出ています。ドラマ化の話もあって、自分の役は大照れしながら「高倉健さん希望」と言ったとかナイスなエピソードもあったそうです。健さんでなくても役所さんならうれしいですよね、きっと。

 そして、田村さんは今も問題になっている「無戸籍」の人でもありました。無戸籍については、ちょっと考えたいので、次回に書かせてくださいね。

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2021/07/04 16:00
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