『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』2万1,701人の、日本で就学不明の外国籍の子ども「ふたりの1年生 ~新米先生と海の向こうから来た女の子~」

2021/03/22 18:01
石徹白未亜(ライター)

7歳から外国語なら、案外苦もないと思いきや……

 私は、 思春期以降に自国で母国語以外の外国語を習得した人たちのことを 全員尊敬している。「言いたいことはあるのに伝える手はず、 技術がない」ゆえに悔しい、恥ずかしい、 怖い思いを何度も何度もしながら、 それでも諦めずに挑戦し続けるという、 途方もない努力を成し遂げた人たちだからだ。

 一方のナイヒは、「帰国子女」枠ともいえる。7歳ならまだ頭も柔らかいし、「恥」などの意識も思春期よりは薄いだろうし、労せずペラペラになれるのでは……? 7歳なら海外生活のスタートとして割と理想的な年齢では……? とすら思っていたが、今回ナイヒの苦労やつらそうな姿、それでも努力する姿を見て、考えを改めることにした。

 小学1年生でも、すでに「できない自分が悔しい、恥ずかしい、話すことが怖い」という気持ちは当然ある。小学校入学当初のナイヒはおそらく、さっぱりわからない授業を前に固まっていたが、2年後となる番組の最後では、日本語漢字検定の10級を取得していた。番組スタッフへ向ける表情も明るくなっていて、言葉に自信がついたことがうかがえる。ナイヒの頑張りを尊敬する。

 また、番組でいいな、と思ったシーンはナイヒの中学生のいとこ、コウキの中学校でのシーンだ。コウキが日本に来た時期については触れられていなかったが、中国の学校を転校するときの映像から、小学校中~高学年くらいで来たように見える。

外国人の子ども白書
自分と違う環境の人もいると想像し続けなきゃ
アクセスランキング