コラム
佃野デボラのホメゴロシ!

これぞ脚本家・北川悦吏子の真骨頂! 『半分、青い。』からさらにパワーアップした『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』をホメゴロス!

2021/01/27 20:30
佃野デボラ(ライター)

テレビ・芸能ウォッチャー界のはみ出し者、佃野デボラが「下から目線」であらゆる「人」「もの」「こと」をホメゴロシます。

『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)公式サイトより

【今回のホメゴロシ!】日テレ水10ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』における「シェフの気まぐれサラダ」っぷり

 脚本家はしばしば、料理人に喩えられることがある。まず描こうとする題材や、作品を通じて訴えたいメッセージがあり、これが「メイン食材」だ。そしてその“食材”を生かすために創意工夫を凝らし、出来上がった作品が「料理」にあたる。だから、同じような題材を扱うドラマでも“料理人”のセンスによって、その味(内容)はまったく異なってくるし、“食材”をどう料理するかが料理人の技術であり、腕の見せどころというわけだ。

 現在、水曜10時枠で放送中の連続ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日本テレビ系)が何かと話題だ。北川悦吏子脚本のドラマといえば、2018年放送の連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合)が前作にあたるが、その作品性と作家性について書いた拙稿において、筆者は脚本家・北川悦吏子氏を「神」と呼んだ。ところで、聖書における「天地創造」は言ってみれば「素粒子という最小単位の素材をどう組み立て、形にするか」という神の創意工夫であり、アダムとイブに最初の選択を迫るツールも木の実だけに、極論すれば、神とは偉大なる“料理人”である……そんなやや強引なこじつけで、本稿では北川神のことを気持ち新たに「北川大シェフ」と呼ばせていただく。

『半分、青い。』を“凌駕する”出来栄えの最新作

 さて、『半分、青い。』から3年、今作『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』はどんな進化を遂げているのか。『半分〜』では自らの病気、子育て、母娘関係など、脚本家の半生をヒロイン・鈴愛(永野芽郁)と、その母・晴(松雪泰子)の姿に色濃く投影してポエティックにつづった「半分、自伝。」ともいうべき構造になっていた。『ウチ彼』もまた、どの登場人物も大シェフがしゃべっているように聞こえるという“北川テイスト”たっぷりだが、前作よりも主要人物の「依り代」感がパワーアップしている。

 というのも、Wヒロインの一人、母・水無瀬碧(菅野美穂)の職業を小説家に設定してあるものの、「物書き」という括りでは大シェフに同じ。もう一人のヒロインである娘の空(浜辺美波)は、漫画やアニメに造詣が深いいわゆる「オタク」で、これまた自身の娘と同じ。娘のことを「君」と呼ぶ“トモダチ母娘”の関係性、港区住まい、娘の自転車のサドルが高いetc.……大シェフがTwitterやインタビューで語る、自らの状況とそっくりなのである。いよいよこれは「半分」どころの話ではなく、「9割、自伝。」ではないか。

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