『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』家族団結を説く父、コロナ感染で改心「お父さんと13人の子ども 後編~新型コロナと大家族~」

2020/07/20 17:51
石徹白未亜(いとしろ・みあ)

日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。7月19日は「父さんと13人の子ども 後編~新型コロナと大家族~」というテーマで放送された。

『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)公式サイトより

あらすじ

 大阪の7男6女の大家族・澤井家。一家は、梅田のビル地下街で居酒屋を経営している。父の淳一郎は居酒屋を営みながら家事、育児にも協力的だが、ワンマン的でもある。3年前、淳一郎が跡継ぎにと決めていた長男が何も言わず突然、家を出ていってしまう。また、進学校に通い成績優秀の三男も、家の事情に鑑みて大学進学を諦めるが、居酒屋で仕事をすることに迷いを感じている。それを察した淳一郎は家族会議で三男を叱責する。

 そんな中、新型コロナウイルスの影響が、澤井家の店を直撃。さらに3月末には淳一郎自身がコロナに感染し、店を開けられなくなってしまう。淳一郎は志村けんさんも受けていた人工心肺・エクモ(ECMO)による治療を行い、予断の許さない状況が続くも、4月末は退院できるまでに回復。10キロ以上痩せた淳一郎は一回り小さくなり、その後も誤嚥性肺炎になるなど体調はすぐれず、かつては家族を取り仕切っていた淳一郎の考えにも変化が出てくる。子どもたちだけで開けていた店は売り上げが1/5に落ち、飲食一本ではまずいと多様化を模索しだす。

「絶対」の考えがゆらぐ瞬間

 コロナで倒れる前、淳一郎は家を出ていった長男について、番組スタッフに対し「長男はもう大人やから仕方ないよね、私が成長してないだけやろね」と話していた。淳一郎の自省ともとれる殊勝な発言だが、このときの淳一郎は「頭ではわかっていても肚では、本心ではわかっていない状況」だったのではないだろうか。

 というのも、自分の可能性を試してみたいと迷う三男に対し、家族会議の場で「家族の団結」の名の下糾弾する言動をとっていたからだ。この時点では、「私が成長していない」という言葉はうわべだけのものではないだろうか。別に、これは淳一郎の性格がどうだ、という話ではなく、誰にだって言葉が頭に入っていても、それがさっぱり実感に結びついていない、腑に落ちていない状態というのはある。

 淳一郎はその後コロナに倒れ、人工心肺を導入する大掛かりな治療から生還したものの、大きな体は一回り小さくなり、家族をどやしつけていた大きな声も出せなくなる。肉体的に変化が現れる中、精神的にも変わったのだろう。番組の最後には、「子どもたちがね、やりたいことやったらいいと思うんですよ、自分たちで相談して。時代も変わるしね、状況もどんどん変化していくから、私が口出す領域を超えると思うんですよね」と言っていた。ようやく、「子どもたちはもう大人であり、成長していないのは自分だった」ということが、実感としてわかったのだろう。

 言葉を本当に理解するには、自分の中に言葉を受け取る器ができていなければいけない。淳一郎にとって、コロナに感染し家族に二度と会えないかもしれないという恐怖の中で1カ月闘病を続けたこと、退院後も体調は優れないこと、そして一家経営ゆえに家族が総倒れになってしまいかねない現実を通じ、自分の中にあった「絶対」がゆらぎ、その隙間に初めて言葉が入ってきたのではないだろうか。

 コロナがきっかけで淳一郎は「転向」したと言えるが、私が過去に働いていた会社も、当時は副業禁止だったが、コロナで業績が悪化したのか副業を解禁したという。胴元のルールや考えなんて胴元の都合(主に、金銭的な都合)であっさり変わるのだ。

生きるとか死ぬとか父親とか
娘に対する考えは変わってなさそう

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