芸能
『ザ・ノンフィクション』レビュー

『ザ・ノンフィクション』大家族モノと貧困のしんどさ「シングルマザーの大家族 ~パパが遺してくれたもの~」

2020/06/29 17:41
石徹白未亜(ライター)

 なお、續家の長男は失踪しており連絡が取れていないという。「家が嫌だから家を出て連絡も取らない(当然、金など渡さない)」という選択をした長男を私は応援する。「新たな決断」自体が大変気力のいることであり、気力を親に折られ続けると、ここまで奮起するのは難しいとも思う。長男の選択を次男はどう思っているのだろう。結局、現状維持が一番ラクな選択なのだ。

 また、高校をやめてニートになった三女も、誰に何を言っても無駄だと諦めていた。思春期の子どもに「諦める」という選択肢を取らせるシーンを見るのは、本当にきつい。續家の場合、長女の夫の飄々とした人柄に随分救われたが、新しく良い風をもたらすのが「長女の夫」という外部の人間という現実が、また暗い気持ちになった。

 それでも、大家族モノは人気シリーズだ。視聴者は、子どものことが心配なのか、他人事として面白がって見ているのか。それとも、うちのほうが経済的にはまだマシだと優越感を感じたいのだろうか。卵パックを買えないほど、経済的に苦しくなることを見越せない一家も不思議だが、そうした家族へ向けられる興味・関心の目線も、個人的には不思議に思う。

 次週の「ザ・ノンフィクション」は『真夜中の洋菓子店 ~ケーキよりも大切なもの~』。奈良県のケーキ屋「にこにこ庵」。店主の木村洋司はケーキ愛のあまり、ケーキが売れるまで店を閉められず深夜まで店を開ける生活が続く。彼を支える妻・美絵子にも限界が訪れる中、新型コロナウイルスの影響が売り上げにも出てきてしまう。木村の決断とは?

石徹白未亜(ライター)

専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。ネット依存を防ぐための啓発講演も行う。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)など。

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Twitter:@zPvDKtu9XhnyIvl

いとしろ堂

最終更新:2020/06/30 12:06
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