コラム
“中学受験”に見る親と子の姿

中学受験専門塾に「日に3回」通い、温かい弁当を届け続けた母――その息子が「高校進学」できなかったワケ

2020/03/15 16:00
鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

 真斗君はその後どうなったのか。中学3年生の秋、担任の先生から、進路に関していくつかの選択肢を示され「どうしたいか?」と聞かれたというが、真斗君が「どうでもいい」と答えたために、「やる気の欠如」として、結局、併設高校の入学許可が下りなかったという。

 朱美さんいわく、真斗君は「ママの好きにすれば?」と言うだけで、何のアクションも起こしおらず、今現在、S中学は卒業したものの進路は決まっていない。

 子どもに代わって、できることは何でもやってあげたいという母心は、わからなくはない。子どもの目の前に石があったら、転ぶ前に取り除いてあげたいというのも母心だろう。しかし、いつまでも母が子どもの盾で居続けることは不可能だ。子どもと親は別人格。やがては親の元から自立させなければならない。しかし、中学受験がきっかけとなって、手を徐々に放すというタイミングを失う母は意外と多い。

 中学受験にはこういう負の側面があることを指摘しておきたい。

鳥居りんこ(受験カウンセラー、教育・子育てアドバイザー)

エッセイスト、教育・子育てアドバイザー、受験カウンセラー、介護アドバイザー。我が子と二人三脚で中学受験に挑んだ実体験をもとにした『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などで知られ、長年、中学受験の取材し続けている。その他、子育て、夫婦関係、介護など、特に女性を悩ませる問題について執筆活動を展開。

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最終更新:2020/03/15 16:00
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