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『R-1ぐらんぷり』でもミソジニー? 女叩きネタと「パンスト破り」に笑えないと批判

2020/03/10 20:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 日本一のピン芸人を決める大会『R-1ぐらんぷり 2020』(フジテレビ系)の決勝戦が今月8日に行われたが、メルヘン須長が披露したネタが女性蔑視的だったとして一部視聴者の間で物議を醸している。

 メルヘン須長は、ドラマ『科捜研の女』(テレビ朝日系)で沢口靖子演じる「榊マリコ」のものまねで有名な芸人。本大会でも榊マリコのものまねをしながらフリップをめくる、「SNS事件簿」(SNS投稿の絵を書き、めくってツッコミを入れていく)ネタを披露した。

 まず、パターン1では女子会後のやり取りとして、二人の女性のSNS上の会話を紹介する。

A<みんな美人さんだった~>
B<みほ小顔で羨ましい~>
A<デブだよぉーえみ細いしタイプ>
B<うちら付き合っちゃう?(笑)>

 この会話にメルヘンは「つまらないわ」とツッコむ。またパターン3では、自分のことを声優と名乗る女性の写真を紹介し、「ブスね」とツッコミを入れる。続けて、ステレオタイプな“オタク”の容姿をした男性が、声優の女性に<可愛いから自信持って>などといったリプライを返す様子に、「地獄ね」。プロフィール欄に<毎日タピってます>と書いてある女性への「胃がぶっ壊れるわ」というツッコミも。

 なお、最終的にグランプリに輝いたのは、マヂカルラブリー・野田クリスタル。野田は「女性が履いているストッキングを切るゲームアプリ」を自作、プレイするネタを披露した。ストッキングをハサミで切ると素肌があらわになるが、替えのストッキングや女性の怒りのビームで妨害され、プレイヤーはなかなか女性の裸の下半身を拝むことができず悪戦苦闘するという内容だ。このネタにも「性暴力を連想し怖かった」との批判が出ている。

「女による女叩き」「男のムラムラ」どちらもエンタメコンテンツ
 一部で「女性差別」と批判されているメルヘン須長のネタだが、彼女のネタが取り立てて過激なものだったというわけではない。自撮り(インスタ映え)やタピオカドリンクなどの流行に乗る女性へのミソジニーな嘲笑は、ありふれたネタである。そして多くの女性視聴者もその嘲笑を楽しんでいる。

 また「女による女叩き」は一種のエンタメコンテンツであり、いわゆる「女性芸人」のネタでも「女あるある(=こういう女いる~、というネタ)」で小馬鹿にする笑いは定番だ。

 2018年の『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)では、特に女叩きネタが多発。ニッチェの江上敬子は厚化粧のエステティシャンに扮し、紺野ぶるまは中途半端な美人の自虐ネタ。合わせみそは交際経験のない女性のイケメン妄想ネタを披露した。

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 バラエティ番組でも、女性タレントが集結し「自分の気に入らない女性の悪口を言う」という企画は鉄板。一例として『女が女に怒る夜』(日本テレビ系)がある。

 昨年12月に放送された回では、若槻千夏やMEGUMI、大久保佳代子らが出演し、「#で彼氏の存在を匂わす女」「野良猫としゃべる女」などの悪口を言い合い盛り上がる。そして、司会の上田晋也や、ゲストの山田裕貴、清原翔といった男性陣が傍観する……と、まさに「女の敵は女」「女は嫉妬深くて怖い」を強調するような構図がつくられていた。

 また最近では、『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)が「女子はなぜ科学的根拠もないのに血液型で語りたがるのか?」として「A型の女性 vs B型の女性」を放送。A型の女性タレントとB型の女性タレントが集まり、双方の性格に文句を言い合う内容だった。

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 一方で、男もまた「オタク」や「非モテ」「おじさん」を叩くネタが笑えるコンテンツとされている。こうしたコンテンツは、もうカビが生えるほど使い古されたものだが、今もなお気軽に消費される。

 昨年の『M-1グランプリ』ではぺこぱが「誰も傷つけない笑いが新しい」と話題になったが、裏を返せば基本的に私たちは「誰かを傷つける笑い」を娯楽として享受しているのだ。まず、せめてそのことに自覚的でありたい。

最終更新:2020/03/10 20:00
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