「元極妻」芳子姐さんのつぶやき74

ヤクザの「代紋入り」が意外な人気! 元極妻が教える、伊勢の「赤福」以外にもあった暴力団グッズ

2020/03/01 16:00
待田芳子(作家)

みんなが代紋入りグッズを楽しんでいた時代も

 それにしても、恐喝はアレとしても、「代紋入りグッズ」を売るのがそんなに非難されるとは、時代は変わったなあと思いました。以前はどこでも作っていたし、カタギさんも喜んでもらっていたんですよ。

 焼酎やワインのボトルのラベルのほか、大福やおまんじゅう、手ぬぐいやタオルなんかに代紋を入れるんですね。あとは盃事のビデオもあります。ちゃんとプロの制作会社が編集し、テーマ曲などもつける本格派です。もともとヤクザは侠(おとこ)を売る人気商売。今はなくなった実話雑誌もアイドル雑誌と似たような作りでした。ひたすらファンの目線でカッコよく撮るんです。

 グッズもその一環で、組関係者のほかつきあいのあるカタギさんに配るのがほとんどでした。親分衆の別荘に遊びに行くと、お風呂場に「ご自由にお使いください」的に代紋入りタオル(新品)が山積みになっていることもありました。

 オットは「なんでタオルに代紋とかつけるかなあ。これでチン〇とか畏れ多くて拭けんし」と苦笑しながら、実際にはしっかり使わせていただいていましたよ。今思えば何にでも代紋をつければいいってもんでもないですよね。事務所には代紋入り灰皿もありましたが、吸い殻をぎゅうぎゅうと押し付けるのも微妙です。

ネット通販で売られていることも

 事務所といえば、部屋住み君(事務所に住み込んで修行する若い衆)たちの着る工務店の作業服に組の名前を入れることもありました。こうした代紋アイテムは、「配下の組織に大量に買わせる」というアイドル事務所的なシノギの面もたしかにありますが、思えば大学のサークルから暴走族まで、みんな「グッズ好き」ですよね。

 もらったりあげたりすれば話のタネになりますし、受注した会社も潤います。組織名の入った名刺は威圧感があるかもしれませんが、代紋の入ったお酒やおまんじゅうやタオルをもらってビビる人がいたら見てみたいです。ちなみに真偽のほどはわかりませんが、代紋入りのおせんべいの袋に若い衆がコッソリ乗っかってバリバリと割っていた……というのも聞いたことがあります。若いコは、怖いものナシですね。ふざけているんでしょうが、きついシゴキへの反感もあったかもしれません。

 なお、だいぶ前ですが、オットの兄弟分の中でも「わりと有名人」だった某親分の名刺がネット上で1枚3万円で売られていたのですが、怒るどころか「自分で刷ってシノギにしようかなあ。100枚で300万円ならうれしいかも」と笑っていました。こうした代紋グッズは、今でもネット通販で扱っているところもあるようですから、ご興味のある方は見てみてくださいね。

待田芳子(作家)

待田芳子(作家)

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻。夫とは死別。本名・出身地もろもろ非公開。自他共に認める癒やし系。著書に『極姐2.0 旦那の真珠は痛いだけ』(徳間書店)がある。

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最終更新:2020/03/01 16:00
ヤクザもアイドルビジネスか
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