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映画『キャッツ』の猫は、なぜ「不気味」で「気持ち悪い」のか? 認知心理学の研究者が考察

2020/02/08 16:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

 では、『キャッツ』の猫が「不気味」と言われないように、制作側は何をすべきだったのだろうか。

「人間か猫か、どちらかの特徴を増やすことだと思います。ただ、不気味さを回避するために、作品の狙いが台無しになってはいけないと思うので、難しいところですが……」

 また山田氏は、そもそも「映画」ではなく「ゲーム」の世界であれば、ある程度受容されたのではないかと考察を広げる。

「ゲームにあの猫が登場する場合、ヴァーチャルリアリティの世界という、大きな世界観の中で生きているものと見られやすいのではないでしょうか。映画は一般の世界に近いと言いますか、特に『キャッツ』は舞台が『ロンドンの街』という実在の場所。そのため、より人に『この猫たちが現実世界にいるはずがない』と感じさせるのだろうと思います」

 一方で、見る側が「慣れる」ことはないのだろうか。上映時間中、ずっと猫を見ていると、「不気味だと思わなくなる」ことも考えられるが……。

「多分あると思います。実際に、映画『キャッツ』で実験しないと、正確なところはわからないものの、アンドロイドでは『慣れはする』という結果が出ている研究があります。この『慣れ』にはいくつかの種類があり、1つが『不気味の谷現象』そのものに慣れてしまうというもの。最初は『不気味』だと思っていても、長い時間見ていることで、その『不気味さ』に慣れるのです。2つ目は、1つ目との違いを説明するのがなかなか難しいのですが……例えば、アンドロイドを人間に容姿を近づけていく中で、『人間に比べて目が大きすぎる』『そんな目が大きい人間はいない』という理由から、『不気味さ』を感じることがあるものの、長い間見ていると、そうした“特徴”を知覚することに慣れるというもの。こうした『慣れ』が、一つに限らないところで起きるのです」

 どれくらいの期間で「慣れる」かは、まだわかっていないそうだが、「昔、多くの人に『気持ち悪い』と思われていたCGが、『慣れ』によって、今ではそう思われないケースもあるのではないか」と山田氏。こうした「慣れ」が社会レベルで起こり、ゆくゆく『キャッツ』の猫が「不気味ではないもの」として受け入れられる……そうした現象が「起きてもおかしくはない」と結論付けた。

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