カルチャー
【後編】『私のおっぱい戦争』リリ・ソン氏インタビュー

抗議団体はトップレス集団以外も! フランスのフェミ事情を『私のおっぱい戦争』リリ・ソン氏に聞く

2020/02/06 21:00
相川千尋(フランス語翻訳者)

──この「フェミサイド」は、最近、フランスをはじめとする欧州各国で大きな問題となっているようですね。政府も対策を取ると発表していますが、リリさんの周りでも話題になっていますか? また、フランス人の一般的な意識はどうなのでしょうか? 

リリ 私の周りではとても話題になっていますが、そもそも「フェミサイド」に問題意識を抱えている人たちなので、これが一般的なフランス人の傾向だとは言えないかもしれません。これらの犯罪を矮小化し続ける人たちもいて、例えば、DVによる殺人を「痴情のもつれによる殺人」「愛ゆえの殺人」、ひどい場合には単なる「事故」などと呼んで、三面記事の事件として扱う記者もいます。「フェミサイド」という用語が使われるようになったのは、わりと最近のことですが、こうした正しい呼び名が定着することを願っています。

──「フェミサイド」への抗議行動を、メディアを通して日本から見ていると、上半身裸で胸にスローガンを書いて抗議する女性たちのグループ「FEMEN(フェメン)」の存在感が大きいのかなと思います。特に若い人にとっては、フランスを代表するフェミニストグループと思われているという話もありますが。

リリ 外国メディアがフェメンに注目するのは、挑発的でインパクトがあるからでしょう。ただ、「フェメン」だけが抗議行動をしているわけではありません。フランス国内では、「ヌ・トゥット」や「アン・ナヴァン・トゥット」、「ジョルジェット・サンド」、「フォンダシオン・デ・ファム」、「オゼ・ル・フェミニスム」など、そのほかにも多くのフェミニスト団体が闘っていて、SNSではとても目立つ存在なんですよ。

 しかし先ほど触れた通り、フランスにも、フェミニズムに悪いイメージを抱く人がたくさんいることは事実。フェミニストの活動家を、世界征服を企み男性を服従させようとする過激派とみなし、「フェミニスト」と「ナチス」を組み合わせた「フェミ・ナチ」だと悪口を言う人もいるくらいですから。フェミニストたちも、そのような罵詈雑言に負けないように、声をますます大きくしているんです。

──「フェメン」はトップレスで抗議行動をしていますよね。「胸を見せる」という行為は、男性に“見る喜び”を与えている側面もあるように思います。「フェメン」をどのようにご覧になっていますか?

リリ 私から見ると、「フェメン」は国際環境NGOグリーン・ピース(国際的な環境保護団体だが、一方で過激な抗議活動が批判されている)と同じようなやり方をしているように感じます。メディアや一般の人々の注目を集めるために、インパクトのある行動を取っているのでしょう。「フェメン」は自分たちのメッセージを伝えるために、女性の体を“モノ化”し、その性的な側面を過剰に強調しています。しかも、これがうまくいっているんですよ! でも、裸の胸を見せることで、肝心のメッセージがあいまいになっている場合も残念ながら多いと思います。

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