浜崎あゆみウォッチャー座談会

浜崎あゆみは、なぜいま松浦勝人氏との恋を暴露した? 小説『M 愛すべき人がいて』徹底考察

2019/09/01 16:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman

あゆは「自信がなくて根暗な女」?

B 内容の話もしていこうと思うんだけど……前の座談会で、Cさんが「あゆ、騙されやすそうだもんね」「自作の歌詞を見ていると、もともとは根暗な女だろうなぁって思う」って言ってたの覚えてる? もう『M』を読みながら、そのことを何度も思い出しちゃった! 本の中で繰り返し繰り返し、「自分には何もない」「私なんて……」みたいなことを言ってる。あゆはもともとアイドル女優だったんだけど、将来が見えずに事務所を辞め、そんな時、松浦会長に「あゆ、うちに来い。そして歌えよ」と言われて歌手を目指すようになったんだよね。でも、当初は「……歌なんて、あゆ、歌えませんよ」「でも、あゆ、きっと歌えない。無理です」という感じだった。

A そうなの、本を読むと、かなり後ろ向きな感じだよね。でも、松浦会長の「俺を信じろ」という言葉に心をつかまれて、ニューヨークに飛び、ボイストレーニングとダンスレッスンを受け始めるっていう。自信がなくて根暗な女が、自分を認めてくれた権力者の男に、洗脳され、服従していくような雰囲気があった……。「俺を信じろ」の言葉は、作中何度も登場してる。まるで呪文のように。

B だいたい、サブタイトルの「愛すべき人がいて」っていうのがなぁ。「すべき」って強いられている感じがする。「愛する」「愛したい」とはニュアンスが違う。

C だからね、このタイトルの『M』ってのは、SMの「M」説もあると思うの(笑)。あゆは松浦会長に「歌え」と言われたら歌うし、「ニューヨークへ行け」と言われたら行くし……奴隷感が漂ってる。私は、松浦会長から離れて、ロサンゼルスで好き放題していた頃のあゆが好きだから、正直言って『M』で描かれている時代のあゆには、そこまでピンと来ないんだよね。あゆは15年に帰国してから、また松浦会長と一緒に仕事を始めたわけだけど、それ以降、ずいぶんおとなしくなった印象もある。最近、あゆって痩せたじゃん。それも、松浦会長の指示なのかなと思ったり。

A 痩せたよね。散々「激太り」って叩かれてたけど、私はそれでも堂々としてステージに立っているあゆが好きだった。何だか物足りないよ。あ! そうだ!! 『M』の中で、あゆの体形について触れてるところあったよね? びっくりしちゃった。

B あった!!  冒頭の現在パートのところで、松浦会長があゆに「あのさ、メイクやファッションや体調や体型まで心配して、ファンは俺に直接ツイートしてくるんだよ」って。

C 小松さん、体形の話もちゃんと入れるなんて、素晴らしいよね。絶対あゆに見せるときにドキドキしたはずだよ(笑)。ちょっと話ズレるけどさ、序章の情景描写がやたらしつこくなかった? 「日向の匂いのするオーガニックコットンのバスタオルで髪のしずくを拭いながら、ミネラルウォーターを飲み干す」とか。「オーガニックコットン」まで書く必要ある(笑)? なんていうか、小松さんが緊張していることがひしひしと伝わってきたよ。もしくは、あゆのインタビューを録った後、「この内容で、果たして1冊分書けるのか?」という戸惑いがあって、文章を伸ばそうとしたのかも? 妄想だけどね(笑)。でも中盤からは筆が乗ってきてた。

B みんな、ほかにどのシーンにグッときた? 私は、松浦会長がニューヨークで武者修行中のあゆを訪ね、プラダに連れて行って、コートをプレゼントしたシーン。そして松浦会長が帰った後、プラダのコートを抱きしめるあゆ……。ベッタベタ! こんな古めかしいシーンなかなかないよ!

A 20代の私には、新鮮に映る(笑)。

C 私にとっての『M』のハイライトは……あゆのおばあちゃんが死んじゃうところかな。仕事が忙しくて死に目に会えず、デビューも見せられなかったという。一番の盛り上がりポイントだと思うし、ちゃんとグッときた。

A それもまたベタな感じがしちゃうけど、ある意味、“駆け出しの芸能人”が主人公の作品の様式美? 私はあゆと松浦会長が付き合うことになるシーンが好きだった。あゆが松浦会長に思いを募らせるんだけど、デビュー直前、一方的に「私は、あなたから愛されることはないでしょう。だから、今日限り、あなたを諦めます」とFAXを送るんだよね。で、それを受け取った松浦会長が「俺にとってお前が必要なんだ」と返信し、翌日、突然あゆの母親に「あゆみさんと付き合っています。真剣です」と挨拶に訪れる……。正式にあゆに「付き合おう」と伝える前に、親に言うっていう(笑)。私、こういう少女漫画読んだことある! と思った。

B 多田かおるさんの少女漫画『イタズラなKiss』(集英社)にも、そういうシーンあったよ! しかし、「私は、あなたから愛されることはないでしょう。だから、今日限り、あなたを諦めます」っていうFAXを送るのも、本当に根暗というか、暴走しているというか(笑)。

M 愛すべき人がいて / 小松成美/著
サイ女はあゆのこと愛してるよ
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