インタビュー

陸上男子100m、9秒台の夢を描く――舞台『マキシマムスピード』出演者が舞台ウラを語る!

2019/01/30 16:00
左から、阿部悠真さん、佐川大樹さん、仲野温さん、大川慶吾さん

 2017年、陸上男子100mで、日本人初の9秒台を達成した東洋大学(当時)の桐生祥秀。彼の功績をテーマにした舞台『マキシマムスピード~限界突破!!~』が、1月29日から築地本願寺プティストホールで幕開けとなった。

 本作品の主人公は、9秒台に最も近い男と呼ばれる東新大学陸上部の桐原秀明(仲野温)。桐原は、トレーナーと練習方法をめぐって対立し、スランプに陥る。あらゆることの見直しが図られ、スパイクの開発を行うことに。桐原サイドから「裸足で走っているようなスパイク」という注文を受けたスポーツメーカーは、社運を賭けて一大開発に取り組む。スパイクのテストランナーに、世界選手権銅メダリストの元スプリンター・為永清司(佐川大樹)を招聘しようとするが、為永は過去に桐原のコーチと対立したことがあり、テストランナーを断ってしまう。スパイク開発も難航し、なかなかスランプから抜け出せないまま、桐原はライバルの多山修二(大川慶吾)や山坂要太(阿部悠真)たちに次々と抜かれていき、オリンピック選考会で決定的な敗北を喫する。そんなどん底から、少しずつ「昔の自分を取り戻す」ことで、桐原はスランプから抜け出し、そして運命のレースを迎えるが……。

 陸上を通じて、見る人に勇気を与える感動の物語だという本作品。そのメインキャストで9秒台に最も近い男・桐原秀明選手を演じる仲野温さん、ライバルの多山修二選手を演じる大川慶吾さん、山坂要太選手を演じる阿部悠真さん、そして、世界陸上元銅メダリストの為永清司を演じる佐川大樹さんから、本作品にまつわるお話を伺った。

――皆さん、『マキシマムスピード』を、どのような作品として受けとっていますか?

仲野温さん(以下、仲野) 「全員が頑張ってる作品」ですね。、陸上というテーマのもと、主人公をはじめとした各キャラクターたちがそれぞれの目標のために頑張っているだけじゃなくて、そのキャラクターを演じる役者の一人ひとりも、演技に対してひたむきに頑張っています。

 とにかく必死感みたいなものが全編に充満してます。セリフだけじゃ表現できない感情を役者としてどう表すかというのが課題かなと思っていて、走るシーンもたくさんありますし、時に挑戦的だったり時に古典的だったりと、さまざまな手法を試みています。観劇された方々が、いい刺激を受けたり勇気づけられたりするような温かくておもしろい作品になっていると思いますよ!

大川慶吾さん(以下、大川) 陸上競技がストーリーのベースになっていて、かつ試合のシーンもあるので、一見、「ナンバーワンを競い合う」といった物語なのかなと思いきや、実は「オンリーワンを目指す」話だなと思っています。劇中には「それぞれの金メダル」といったセリフも出てきますし。

 温ちゃんが言うみたいに、観客の方にとって、いい刺激になったり、温かみを感じてもらえる作品ですし、間違いなく「明日への活力」を得られる作品になっていると思います。特に、「頑張ってるけど、なかなか結果が出せない」という苦しさに直面している人に、この作品を見てほしいです。必ず何かしらのヒントを得られると思います。人によっては「忘れていた感覚」を取り戻せるかもしれません。

阿部悠真さん(以下、阿部) 最近の作品の中では、ここまで「純粋に挑戦すること」をテーマにした作品は珍しいんじゃないかと思います。全てのキャラクターたちが正々堂々と勝負する姿が描かれています。また、登場人物たち全員に一つひとつ見せ場が用意されているんです。みんなのパワーがひとつになっているのを実感できる作品だと思います。

佐川大樹さん(以下、佐川) 物語としては、3つの主軸があります。「100mで9秒台を出すこと」「選手以外の人々の夢」「スポーツマンシップ」ですね。どの視点から観劇しても楽しめる作品になっているはずです。

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