コラム
「元極妻」芳子姐さんのつぶやき37

山口組若頭が敗訴したワケ――元極妻が考える「ヤクザの裁判」

2018/10/28 16:00
法務省矯正医官募集サイトより

今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

■獄中から起こした国家賠償訴訟

 「文春砲」というほどでもないですが、「週刊文春」10月11日号(文藝春秋)に掲載された「山口組ナンバー2の敗訴」に関する記事が、不良と元不良の間で話題になりました。現在服役中の山口組・高山清司若頭が獄中から起こした国家賠償訴訟ですね。

 「若頭」とは、親分から盃を受けた子分のトップで、親分にとっての「長男」にあたります。山口組に限らず若頭から組長になることが多いので「ナンバー2」と呼ばれるわけですが、実際には理事長などほかの役職から組長になることもあります。まあ大幹部であることに変わりはないです。

 報道などによりますと、若頭は難病指定の「後縦靭帯骨化症」(こうじゅうじんたいこっかしょう)の持病があり、「なじみの外部医師」による刑務所内でのリハビリを希望していたのに、ムショ側が認めなかったことを不服として提訴していました。これに対して、東京地裁は「(若頭の病状は)入所後から大きく悪化していると認められない」「刑務所内での診療で対応可能」として訴えを認めませんでした。

 実は、こういう裁判は過去にもあります。収監前に服用していた薬の処方がムショでは認められずに病状が悪化した……とかですね。でも、獄中から提訴するのはお金もかかって難しいので、泣き寝入りしている懲役(受刑者)のほうが多いと思います。

 一方で、有名な懲役が裁判を起こせば大きく報道されますし、病名などのプライバシーも書かれてしまいます。高山若頭の場合も、病名が報道されていますね。病気という個人情報をさらしてでも治療が必要という判断だったのかもしれません。

難病情報センターの公式サイトによりますと、後縦靱帯骨化症とは、背骨の中の靭帯が骨のように硬くなることで周りの神経が押されるのだそうです。遺伝の要素もあるんですが、糖尿の方に多いようです。ご近所のドクターは、「この病気は1カ所だけでもめっちゃ痛くて、車椅子は必須」と言っていました。若頭は6カ所らしいですから、大変でしょうね。「でも、ちゃんとした治療を受ければ、完治はムリでも、なんとかなる」そうです。となると、問題は塀の中でちゃんとした治療が受けられるかどうかです。「夫を含めて周囲の大半がムショ帰り」という私からすると、これはかなりハードルが高いと言わざるを得ません。

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