【連載】庶民派ブランドの落とし穴

ジーンズメイトが抱える“3つの地雷”! ライザップ傘下入りも「新ブランド全然売れない」?

2018/10/28 16:00
ジーンズメイト公式サイトより

 現在のアパレル業界で、その動向に注目が集まる3社があります。ZOZO、トウキョウベース、ライザップグループです。この3社はいずれも、さまざまな新たな試みをどんどん打ち出し、そのたびに話題になっており(個人的には、実態よりもかなり過大評価されているとしか思えないのですが)、そういう“扇動力”も含めて、実力ある企業といえます。その中から今回はライザップグループの「ジーンズメイト」について考えてみたいと思います。

 ジーンズメイトは、老舗のジーンズカジュアル専門チェーン店の中で、3番手に位置してきました。1位がライトオン、2位がマックハウス、3位がジーンズメイトという順位は現在も変動はなく、3社ともピーク時に比べると大きく売上高を落としているのが実情です。1位のライトオンは、ピーク時売上高は1000億円を超えていましたが、今は770億円程度。マックハウスも500億円から300億円くらいに縮小しています。ジーンズメイトもピーク時の2000年2月期には売上高が247億円ありましたが、18年3月期売上高は97億円と半分以下にまで低下しているのです。減少率でいえば、もっとも縮小が顕著ではあるものの、17年に創業家が退き、ライザップグループに買収されたことから俄然注目を集めました。

 健康食品とダイエットスポーツジム経営で大手企業に上り詰めたライザップは、突如、アパレル企業をダボハゼ的に買収し始めました。低価格衣料のインターネット通販の夢展望、婦人チェーン店の三鈴、シルバー婦人服の馬里邑、補整下着のマルコなどです。そして17年にはジーンズメイトを買収しました。

 高度経済成長期・バブル期の“飛ぶように服が売れる”時代ではなくなって久しいアパレル業界は、ユニクロやジーユーなどの一部勝ち組を除いた大部分が苦戦に転じるようになり、閉塞感が漂っています。特に老舗と呼ばれるアパレル企業の多くは、往年の姿が嘘のように衰えてしまったのです。売上高がピーク時の半分以下になったジーンズメイトもその中の1つだといえますが、異業種の大手かつ成長企業であるライザップの衣料品分野進出を、メディアは好意的に捉えました。

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